毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、長新太さんのロングセラー『ごろごろにゃーん』です。1976年に月刊絵本「こどものとも」の一冊として発行され、その後1984年に「こどものとも傑作集」として市販本化されました。
海の上に浮かんだ大きな飛行機に、ボートでやってきた猫達が続々と乗り込みます。トビウオのような形の飛行機は、「ごろごろにゃーん」と飛びながら、クジラから逃れ、大雨の中を抜け、UFOや飛行機とすれ違い、犬に追われ、街や森を越えて、また海に戻ってきます。ごろごろにゃーん、ただいまー。
猫達がどこから来たのか、そしてどこに向かっているのかも何もわからないまま、いきなり不思議な空の旅が始まります。場面はどんどん展開していきますが、文章は最初と最後の見開きを除くと「ごろごろにゃーんごろごろにゃーんと、ひこうきはとんでいきます」だけ。シンプルなフレーズのくり返しはいつの間にか中毒性を帯びてきて、絵本を閉じた後も思わずごろごろにゃーん…。
「ナンセンスの神様」の異名をもつ長新太さんならではの、究極のナンセンス絵本。「これってどういう意味?」と困惑する大人も多いかもしれませんが、子どもは意外とすんなり受け入れ、その面白さにハマります。
作者の長さんは2000年7月号「こどものとも年中向き」折込付録の中で、大人と子どもを比較して、このように語っています。
「大人はどうしても、理屈の通ったものでないと信用しない、という面が強い」「どうしても笑いとかユーモアが軽んじられ、生真面目なものが最高、という考えがある」「小さな子どもの視点はすごい。僕はそういう人たちを相手に本を描いている」
大げさかもしれませんが、この絵本を笑える柔軟性をいつまでももっていられたら、人生はもっと豊かなものになるかもしれません。
<ミーテ会員さんのお声>
娘が1歳の頃からたまに読み聞かせている『ごろごろにゃーん』。今日は読み終わった後に「次は犬が飛行機に乗り込んで、『ごろごろわーん』が始まるよ」と楽しい続きを話してくれました。娘の想像力に感心して、うれしくなりました。
私も幼い頃に何度も読んだ本で、強烈なインパクトが今でも残っています。自分もかつて楽しんだ世界を今、娘と旅することができるなんて、本当に幸せ!(3歳6か月の女の子のママ)
「ごろごろ」の濁点を取った『ころころにゃーん』は、2005年に77歳で逝去された長新太さんの遺作となった絵本です。あわせて読んで、長さんならではのナンセンスワールドを堪能してみてください。
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