毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、イギリスの作家レイモンド・ブリッグズさんの『さむがりやのサンタ』。ブリッグズさんと言えば、アニメ化もされた文字のない絵本『スノーマン』(日本での絵本のタイトルは『ゆきだるま』)が代表作として知られていますが、『さむがりやのサンタ』は『スノーマン』よりも5年早い、1973年に出版されました。日本でもその翌年には翻訳出版されています。
今日は12月24日。けたたましく鳴り響く時計の音で目覚めたサンタは、「やれやれ、またクリスマスか!」とぶつくさ文句を言いながら、朝のしたくを始めます。真っ赤な衣装に身を包むと、そりにプレゼントを山ほど積み込んで、トナカイにひかれて、いざ出発! 寒さに愚痴をこぼしつつ、子ども達にプレゼントを配ります。
仕事を終えて家に戻ると、お風呂に入り、ビールを1杯飲んで、豪勢なごちそうに舌鼓。そしてパジャマに着替えてベッドの中へ…そんなサンタクロースの一日が、漫画のようなコマ割りで表現されています。
吹き出しは大半がサンタのひとり言なのですが、口を開けば「冬は嫌だよ、まったく!」「煙突なんてなけりゃいいのに!」と文句ばっかり。あれ? サンタさんってもっと、子ども達に憧れられるような、やさしくてすてきなおじいさんじゃなかったの?…と驚く人もいるかもしれません。でも、そんな人間臭さこそが、この絵本に登場するサンタの魅力。ひとコマひとコマ丁寧に見ていくと、このサンタはただの気難しいおじいさんというわけではなく、実はやさしい心の持ち主なのだということがわかるでしょう。
サンタはみんなが寝静まっている夜中に働いているため、ほとんど誰とも言葉を交わすことがないのですが、声をかけ合う相手がひとりだけ登場します。それは、牛乳配達のおじさんです。
「まだ終わらないのかい」「ほとんどすんじまったよ」
簡単なやりとりではありますが、互いに敬い励ましあう姿が見てとれます。作者ブリッグズさんのお父さんは、牛乳配達の仕事をされていたとのこと。夜を徹してプレゼントを配達するサンタクロースに、夜明け前から牛乳を配達して回る父親の姿を重ねたのかもしれませんね。
<ミーテ会員さんのお声>
息子はサンタクロースについてまだよくわかっていないようなのですが、私自身も子どもの頃に何度も読んだお気に入りの絵本なので、クリスマス前に読んであげました。サンタの暮らしぶりが細やかに描かれていて、大人でも楽しめます。というか、大人こそ楽しめる絵本なのかも? 息子は「はーくしょい!」のところで爆笑していました。(3歳2か月の男の子のママ)
日本版のタイトルにもある通り、この絵本のサンタは寒さが大の苦手。部屋にはカプリ、マルタなど、バカンスにうってつけの島のポスターが貼られています。続編となる『サンタのなつやすみ』で描かれるのは、念願かなってバカンスに出かけたサンタの珍騒動。オフシーズンのサンタの様子が気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!
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