毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、内田麟太郎さんの文、降矢ななさんの絵による『ともだちや』。累計190万部突破の人気絵本「おれたち、ともだち!」シリーズの1作目です。
森一番のさみしんぼうのキツネは、思いつきで「ともだちや」を始めることにしました。1時間100円で友だちになってあげるのです。「ともだちは いりませんか」と呼びかけながら歩いていくと、クマから声がかかりました。ひとりでの食事がつまらないので、一緒に食べようと誘われたキツネは、まずくてたまらないイチゴを我慢して食べ、200円もらいました。
次にキツネを呼び止めたのは、オオカミ。ふたりで何回かトランプを楽しんだ後、キツネがお代を請求すると、オオカミは怒りだして…。
友だちがいたら楽しいけれど、誰もがそんなに簡単に友だちをつくれるわけではありません。入園、入学や引っ越し後など、なかなかみんなと仲良くできずに戸惑ってしまう子もいることでしょう。キツネもそんな、ちょっと不器用な子のひとり。「ともだちや」という商売は、そんなキツネが苦肉の策で考えついた、友だちをつくるための手段なのです。
クマの食事に付き合い、お金をもらって友だちを演じてみたものの、おなかが痛くなってしまったキツネ。その様子を見て、「これって本当の友だちなの?」と、読み手である子ども達も疑問を感じることでしょう。友だちはお金では買えないんだ…キツネにそんな大切なことを気づかせてくれたのは、オオカミでした。
誘い方はちょっと強引で、キツネも最初は恐る恐る近づくのですが、トランプで遊ぶふたりの楽しそうなことと言ったら! ハッピーエンドの結末は、ラストのキツネの後姿を見れば一目瞭然です。
作者の内田麟太郎さんはミーテのインタビューで、絵を降矢ななさんに頼んだ理由について、「話が胸キュンだから、絵はユーモアのあるものにしたいなと思っていた」から、と語っておられます。ヘルメットにゴーグル、腰には浮き輪、餅花飾りにのぼり、ちょうちん…キツネのインパクトのあるファッションは、内田さんからの指定ではなく、降矢さんによるアイデアだそう。どうしてあんな奇抜な格好になったのかは、降矢さんがインタビューの後編で語ってくださっているので、ぜひご覧くださいね。
<ミーテ会員さんのお声>
友だちはお金では買えない…長男に理解できたかな? 読んだ後、近所の友だちと遊びたいと言い始めた。春から幼稚園。友だちたくさんできるといいな。きっとできるよ。ママは応援するよ。そしてママにも新しい友だちができるといいな。(1歳7か月と4歳4か月の男の子のママ)
キツネとオオカミの友情は、その後も『ともだちくるかな』、『あしたもともだち』などシリーズ化され、全11巻が出版されています。親子で読んで、「友だちって何だろう」と考えるきっかけにしてみてください。
▼内田麟太郎さんのインタビューはこちら
「詩の心でつづる絵本の言葉」
▼降矢ななさんのインタビューはこちら
「子どもは必ず見つけてくれる 絵本の中に潜んだ“遊び”」
※「おれたち、ともだち!」シリーズについては、いずれも後編に記載
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