毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、松岡享子さんの文、林明子さんの絵による人気作『おふろだいすき』。1982年初版のミリオンセラーです。
まこちゃんは、お風呂が大好きな男の子。今日もあひるのプッカを連れて、ひとりでお風呂に入ります。しばらくお湯につかってから、上手に体を洗っていると、なんと! お風呂の底から大きなカメが浮いてきました。
カメに続いて、双子のペンギンやシャボン玉が得意なオットセイも登場。さらには太ったカバもやってきて、まこちゃんに体を洗ってくれないかと頼みます。カバの体を洗い終えたら、クジラのシャワーで豪快にシューッ、ザァーッ!
普通の家庭サイズの湯船が動物の登場とともに次第に大きくなって、最後には海のように広い大浴場にまでなるのですが、その様子が、余白や見開きを生かした巧みな画面構成で表現されています。林明子さんならではの柔らかなラインで描かれた男の子の姿は愛らしく、お湯や湯気、シャボン玉などの描写も臨場感たっぷり。背景のハチミツ色も相まって、お風呂の温かさや心地よさがとてもよく伝わってきます。
子どもの空想の世界が魅力的に描かれた作品ですが、導入では、まこちゃんがひとりでお風呂に入る様子も丁寧に描かれています。お風呂場の床は滑るから気をつけること。湯加減を確認すること。腕、肩、胸、おなかと、順番に洗うこと。まこちゃんは、お母さんやお父さんから教えてもらったことを、一つひとつ確実にクリアしていきます。まだひとりでお風呂に入ったことのない子は、まこちゃんのそんな姿に憧れを抱くかもしれません。
動物達との空想の世界を堪能した後は、お母さんが広げてくれた大きなタオルの中へ飛び込みます。空想の世界を存分に楽しめるのは、現実の世界でこうやってちゃんと待っていてくれるお母さんの存在があるからこそ、なのでしょうね。
<ミーテ会員さんのお声>
前から気になっていた、私の好きな林明子さんの絵の絵本。読んでみると、とっても素敵な絵本でした。娘には少し文字数が多い気もしましたが、私が楽しそうに読んだら、最後まで聞いてくれました。
あひるをつれてお風呂に入ったまこちゃん。お湯の中からオットセイや大きなクジラが現れびっくり!!…というお話です。あひるもおもちゃのあひるのはずなのに、いつの間にか足がはえていることに娘も気づいて、楽しそうでした。(3歳7か月の女の子のママ)
作者の松岡享子さんは、以前紹介した『しろいうさぎとくろいうさぎ』などの翻訳家としても知られています。東京都中野区にある東京子ども図書館は、松岡さんが石井桃子さんらとともに創設した私設図書館。松岡さんは現在も名誉理事長として、子どもと本の幸せな出会いをサポートされていらっしゃいます。
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