みんなの推し絵本!

vol.23 田中達也さんの推し絵本

vol.23 田中達也さんの推し絵本

田中達也さんの写真

vol.23 田中達也さんの推し絵本

思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本!」。今回は、身近な日用品を全く別のものに見立てたユーモアあふれるミニチュア写真作品や、絵本『くみたて』などで知られるミニチュア作家・田中達也さんにご登場いただきます。

俯瞰の絵に憧れた子ども時代

小さい頃、一番よく読んだ絵本は『おおきな おおきな おいも』です。雨で芋掘り遠足が延期になって、残念がった子どもたちが大きなお芋を描いて、壮大な芋掘りを妄想するというお話。大人になっても内容をはっきり覚えているほど、何度もくり返し読んでいました。

特に好きだったのは、後半の料理のシーンやお芋パーティーのシーン。楽し気な様子を俯瞰で見るのが昔から好きだったんですね。子どもの頃の記憶だと、もっと細かく描き込まれているイメージだったのですが、改めて読み直してみたら、意外とざっくりとした絵で驚きました。想像で補完しながら読んでいたのかもしれません。

『旅の絵本』も昔から好きでした。こんな俯瞰の絵を自分も描きたいと思いながら、図書室でじっくり眺めていたのを覚えています。今も時々、仕事の合間に眺めるんですよ。文字がないのがまたよくて、情報過多で頭の中がうるさいなって時に『旅の絵本』を開くと、静かになるというか、すっきりするんですよね。ゆったりとした気分でめくっていると、自分の作品でもこんな風景をやりたいな、なんてアイデアに繋がることもあって。ひとりで静かに読みたい絵本ですね。

僕は読み聞かせに苦手意識があるので、息子たちとの絵本の時間にはお話の本ではなく、迷路や探し絵の絵本をよく選びます。おすすめは『迷路探偵ピエール ~うばわれた秘宝を探せ!~』。寝る前に1場面だけやろうと決めて、誰が一番先に見つけられるか競争したり、ここにこんなのがあるねと解説したり。本当に細かく描き込まれているのでかなり難しいのですが、その分じっくり見て楽しめますよ。「迷路探偵ピエール」はシリーズ全作持っているのですが、どれもぼろぼろになるほど何度も読み込んでいます。

見立てとだじゃれで、おすしが大冒険

新作『おすしが あるひ たびにでた』は、『おすしが ふくを かいにきた』に登場したおすしが主役の冒険ストーリーです。“まきず市駅”から巻きずしの汽車に乗って、“おすシティ”を目指す旅がスタートするのですが、途中で山登りをしたり、ビーチや砂漠に行ったり…見立てとだじゃれを交えながら旅が展開していきます。

ビートルズを意識した表紙やインディ・ジョーンズ的な冒険活劇など、自分の好きな要素をたっぷり詰め込んで、楽しく作らせてもらいました。駅の売店が「KIOSK」ではなく「KIOSUSHI」になっていたり、実家が昔ながらの日本のお茶の間のような雰囲気だったり…子どもには伝わらないかもしれませんが、大人の読者の方々がニヤッとしてくれたらなと。前作と同じく、犬を探すおじさんのサイドストーリーも盛り込んでいます。隅々まで見て楽しんでもらえたらうれしいですね。

読み聞かせが得意でない人も読みやすいように、文章は抑揚をつけなくても面白くなるよう工夫しました。あまり長くないので、寝る前に読んでもらうにもいいと思います。

絵本の魅力は、限られたページ数に面白みがぎゅっと凝縮されているところ。時代を経ても廃れないのもいいですよね。今、僕の手元にある『おおきな おおきな おいも』は111刷。こんな風に長く愛される作品を自分も作っていけたらと思っています。

ミーテ プレゼント情報

おすしが あるひ たびにでた

インタビューの中でご紹介した『おすしが あるひ たびにでた』に直筆サインを入れていただきました。ミーテ会員2名様に抽選でプレゼントします。

『おすしが あるひ たびにでた』のご紹介はこちら

※ミーテ会員登録がまだの方は、登録後、ご応募ください。会員登録はこちら

プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

応募期間
2月27日(火)~3月11日(月)

プロフィール

田中 達也さん

田中 達也(たなか たつや)

1981年、熊本県生まれ。2011年、ミニチュアの視点で日常にあるものを別のものに見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を開始。以後毎日作品をインターネット上で発表し続けている。国内外で展覧会「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」を開催。主な仕事に、2017年NHK連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバック、2020年ドバイ国際博覧会・日本館展示など。絵本に『くみたて』『あーっとかたづけ』(福音館書店)、『おすしが ふくを かいにきた』『おすしが あるひ たびにでた』(白泉社)がある。二児の父。

https://miniature-calendar.com/


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