イチ押し絵本情報

デジタル感覚の遊びをアナログの絵本で体験(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.199)

2018年9月6日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 デジタル感覚の遊びをアナログの絵本で体験

今回ご紹介するのは、10万部突破の人気作『まるまるまるのほん』。イラストレーター、絵本作家として活躍するフランスの作家エルヴェ・テュレさんの絵本で、日本では、原書『Un livre!』がフランスで出版されたのと同じ2010年に、谷川俊太郎さんの訳で翻訳出版されました。

最初のページを見ると、中央に黄色い「まる」がひとつ。「きいろいまるを おして つぎへ いこう」という文章に従い、「まる」を押してページをめくると、きいろい「まる」がふたつになった! もう一度押してみると、今度は3つに! 次に、左の黄色い「まる」を指でそうっとこすると…。

見開き

表紙カバーの袖の部分には、こう書かれています。

「これは、
よむほんではありません。
まるで いきているような
まるを つかって あそぶ
まるっきり あたらしい
あそびのほんです」

文章は物語をつづるものとしでではなく、読み手にアクションを起こさせるためのものとして存在します。指で押して、こすって、クリックして、本をゆすって、傾けて…。指示通りにアクションを起こしてからページをめくると、「まる」が増えていたり、色が変わったり、位置が変わったり…アクションに合わせて絵が変わっていくのです。まるで自分が「まる」を動かしているかのよう!

デジタル感覚の遊びをアナログで体験できる、フランス発の新感覚絵本です。こういう遊びはタブレット端末でやればいいのでは?…と思う方もいるでしょうが、それをあえて絵本というアナログの手法で体験できることこそ、この絵本ならではの醍醐味なのではないでしょうか。デジタルなら、「まる」は指の動作に合わせて実際に生き生きと動きますが、絵本の場合、絵と絵の間の動きを読み手が頭の中で想像することになります。動きの速度や音なども、読み手の想像次第。紙の絵本の上の「まる」だって、読む人に想像力があれば生き生きと動くんだ、ということがわかります。

読んで楽しむだけではなく、読者自らが参加して体感できるインタラクティブ絵本は、最近ではだいぶ増えましたが、この絵本はその走りともいうべき一冊。デジタルの感覚をアナログの絵本と掛け合わせることで生まれたユニークな体験を、ぜひ味わってみてください。

<ミーテ会員さんのお声>
最近の娘と息子のお気に入り絵本。タブレット端末が絵本になったような一冊です。絵本の指示に従って、まるをクリックしたり、こすったり、絵本を傾けたりすると…ページをめくるたびに変化が!! デジタルの世界だったら当たり前にできて特に何も思わないことが、アナログの絵本だとこんなにもワクワクするんだなぁ~♪

娘は、自分がやったことで、次のページのまるが変化することにビックリ顔で喜んで大笑い(^^) 絵本だから味わえる、ワクワクドキドキ感が味わえる、すごい絵本です!!(2歳9か月の女の子と0歳4か月の男の子のママ)

シリーズ続編に『いろいろいろのほん』『あそぼ』『おとえほん』があります。物語の絵本ばかりが絵本ではありません。押して、こすって、クリックして…絵本でたっぷりと遊んでみましょう!


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