今回は、『あがりめさがりめ』などのわらべうた絵本や『ママだいすき』などでおなじみの絵本作家・ましませつこさんがご登場。伝統的な色彩や形の美しさと現代的なセンスが合わさったあたたかな絵は、どうやって生み出されてきたのでしょうか? 山形での子ども時代や「わらべうた」との出合い、まど・みちおさんとの思い出、制作エピソードなどを、季節の花が咲く素敵なご自宅で伺いました。4週連続でお届けします。
1937年、山形県鶴岡市生まれ。広告デザインの仕事の後、子どもの本を手掛けるようになる。『わらべうた』でデビュー。主な作品に『うめぼしさんのうた』(以上、福音館書店)、『ママ だいすき』(作:まど・みちお)、『あがりめさがりめ』、『ととけっこう よがあけた』(案:こばやしえみこ、以上こぐま社)など。最新刊は、『うめぼしさん』(作:かんざわとしこ、こぐま社)。
▲「あがりめさがりめ」「いっぽんばし」など親子で体をつかって遊べるわらべうた15篇。『あがりめさがりめ』(こぐま社)
『わらべうた』は話題になったの。新聞にもほとんどに載ってね。ただ、私も尊敬している評論家の方が「わらべうたらしくない」っておっしゃったの。後からわかったんだけれど、例えば子守歌は「お腹が空いた」とか、奉公に出て家に帰れない寂しさなどを歌っていたりね。それも含めて子どもの歴史だし文化なんだ、と後から皆さん言うようになったけれど、この時は「わらべうたは怖い」と思っちゃったのよね。
結局、次にわらべうたの本を出したのは、30年後。編集の方のお子さんが保育園で習って、家でも散々相手をさせられるという話を聞いて、手遊びうただったらって。『あがりめさがりめ』は、わらべうたを知らないお母さん方のために遊び方を入れたいと言われて、困っちゃったわね(笑) ただふっと「猫にやらせればいいんじゃないの」って思いついて、面白い感じに出来上がったの。
こばやしえみこさんと出したのは『ととけっこう よがあけた』などの「わらべうたえほん」シリーズ。こばやしさんは長い実践の中から、わらべうたは日本の子どもの育ちに必要とわかって、続けている方なの。物語性のあるうたなら一曲で本ができる、どんなうたが遊ぶのにいいかって相談しながらつくった。わらべうたって無理がないでしょう? それが子どもを引き付けるのね。「○○ちゃん、あ~そ~ぼ」などもわらべうたなのよ。日本人の言葉の抑揚とあっているのね。
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ミーテでは、スペシャルインタビューの他にも、子育てに絵本を取り入れている先輩ママ・パパのお声もたくさんご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
スペシャルインタビューはまだまだ続きます。
▲「うめぼしさんうめぼしさん、赤い顔して、しわよって…」。梅干しのできるまでをリズミカルで美しい言葉とユーモラスな貼り絵で描いた『うめぼしさん』(作:かんざわとしこ、こぐま社)
最近出した『うめぼしさん』は、もともと紙芝居だったの。貼り絵で全部描きなおしたら、神沢さんも「うれしいわ」って言ってくださったみたい。梅干しは、父がつくっていたからね。覚えているし、描きやすかった。一粒一粒和紙に描いて貼り絵にしているんだけれど、梅干しはだんだんしわがよってくるわけでしょう? だから使う和紙も、パリッからシワッに変えて(笑)
去年は、『さくら ひらひら とんぴんぴん』と『こぶたのぶーぷ』もやったから、くたびれちゃって!(笑) 今は再来年頃に出す『じょうずだね(仮)』というのを進めています。ちょうど孫がこの本の年頃なので「今のうち!」って言われてるのよ。ただ人見知りしていて、この間来た時は、やっとエレベーター代わりに抱っこして階段を上り下りさせてもらえた(笑)
お母さん方には、子育てを楽しんでって思うわ。子どもって本当に面白い発見をするのね。息子は朝起きて窓を開けて「冬のにおいがする!」って言ってた。二度とないものね、そういう時期って。読み聞かせも、お母さんが思った通り読んでいいと思う。何でもないところを伸ばしたり、わざと飛ばしたり、繰り返したりね。私が、絵を描くのも遊びのひとつだったように、絵本もそういう楽しみのひとつになってくれればいいと思うわ。