vol.3 あいはらひろゆきさんの推し絵本
思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本!」。今回は、今年20周年を迎えた「くまのがっこう」シリーズでおなじみの絵本作家あいはらひろゆきさんにご登場いただきます。
※あいはらひろゆきさんは2022年6月27日にご逝去されました。故人のご功績を偲び、心からご冥福をお祈りいたします。
「くまのがっこう」シリーズ16作品の中でも、心に残っているのは『ジャッキーのゆめ』。東日本大震災を受けてつくった絵本です。実は、震災前に「ゆめ」というテーマで別の話を書いていましたが、震災があり、僕は仙台出身で地元ということもあり、いろいろと思うことがあって、急遽一から書き直しました。
言うまでもなく、震災では「あたりまえの日常」が壊されました。シリーズとして「あたりまえの日々の大切さ」をテーマとしてきましたが、それを直接メッセージとして扱うべきだと思いました。なので、絵本の中でジャッキーに「ゆめは?」と聞かれたお兄ちゃん達は「今の暮らしがずっと続くこと」と答えます。
また20周年を記念して、僕の子育ての経験や子どもへの思いを詰め込んだエッセイ絵本『くまのがっこうの子育て』を出しました。中でも、小さいお子さんをおもちのパパ・ママに伝えたいのは、「『ねえ見て』は『ねえ愛して』のこと」。子ども達にとって、見守られることがどんなに大切か、心があたたかくなって勇気が湧いてくることか、そして親にとっても、子どもを見守ることがどんなに幸せなことか、もう一度考えてほしいと思います。
「くまのがっこう」が20年も続いているのは、読者のみなさんがみなさんなりの「くまのがっこう」として楽しんでくれているからだと思います。最初に読んだ子はもう大人になったり、ママやパパになったりしています。大切に、長く読み継いでいってほしいと思います。
1999年に女の子が生まれた際に、いろいろ調べて有名な本を70~80冊、一斉に買い揃えました。女の子の生き方をテーマにしたものを意識して選んだ記憶があります。中でもバーバラ・クーニーさんの絵が好きで、『ルピナスさん』や『エミリー』、『おおきな なみ―ブルックリン物語』は、何度も読み聞かせした記憶があります。
また、僕が作家として興味をひかれたのは、せなけいこさんの『ねないこだれだ』に代表される一連の作品ですね。あれだけシンプルで、ある種乱暴とも言える作品が子ども達の心を捉えて離さないということにとても驚き、自分でもつくってみたいと思いました。
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あいはら ひろゆき
1961年、宮城県生まれ。絵本作家、エッセイスト。主な作品に、「くまのがっこう」シリーズ(ブロンズ新社)、「くまのこミン」シリーズ(講談社)、『はっはっはくしょーん』(KADOKAWA)などがある。2020年に出版社「サニーサイドブックス」を設立し、『くまのがっこうの子育て』や『ちょっちょっちょきーん』などを出版。