Vol.68 『パパのぼり』『パパおふろ』作者・きくちちきさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、『パパのぼり』『パパおふろ』作者である絵本作家きくちちきさんにご登場いただきます。
息子が生まれて間もない頃、息子とのやりとりを日記のようなものに書いていました。そこから絵本になりそうなエピソードを選んでつくったのが『パパのぼり』と『パパおふろ』です。
赤ちゃん絵本を描くのは、この時が初めてでした。あまりかわいい絵を描くのが得意ではないという自覚があったので、なるべく親子のクマをかわいく描くよう心がけました。登場人物をクマにしたのは、人の動きを表現しやすいのと、僕自身がクマっぽいからです。子グマの動きは息子をイメージして描きました。ことばも実際に息子が言ったことばを思い出しながら書いていきました。
僕と息子のやりとりがそのまま絵本になっているので、正直恥ずかしい気持ちもちょっとありますが、子育ての大変さを身に染みて感じていたので、絵本を通して読者の皆さんと子育てを楽しく共有できたらなという気持ちで取り組みました。
赤ちゃん絵本とは呼べないかもしれませんが、息子は僕の絵本『ちきばんにゃー』が大好きでした。おもちゃが行進しながら、いろいろなものと遭遇するお話で、行進のリズムに合わせて手を叩きながら大喜びしていたんです。でも巨大な猫が出てくるところで怖くて絵本を閉じ、また最初から。いつもそこで閉じるので、絵本としての見せ場まで行かず、始まりの行進だけ手を叩いて喜んでいました。
そんな息子が巨大猫を克服して、次のページに進めた時は感動しました。しばらくは、その次の巨大サメのところでまた閉じて、最初に戻っていたのですが、成長とともにサメも克服しました。くり返し少しずつ読み進めながら息子の成長を感じることができた、本当に思い出深い一冊です。
赤ちゃん絵本は、赤ちゃんと一緒に楽しめる最初の絵本です。たくさんの絵本の中から見せてあげたいと思える絵本を見つけるのは大変かと思いますが、それを一所懸命探して見つけることで、どんな絵本にも愛情がひとつ加わります。赤ちゃんにとっては、大好きなママやパパが選んでくれたというのが、まずは大切なのかなと思います。
きくちちきさんの絵本『いろいろかえる』3冊に直筆サインを入れていただきました! ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
きくち ちき
1975年、北海道生まれ。絵本作家。2013年にデビュー作『しろねこくろねこ』(学研)でブラチスラバ世界絵本原画展の金のりんご賞を受賞。2019年、『もみじのてがみ』(小峰書店)で同展の金牌を受賞。2020年、『しろとくろ』(講談社)で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。その他の作品に『でんしゃくるかな?』(福音館書店)、『おひさまわらった』(JULA出版局)、『いろいろかえる』(偕成社)、『ともだちのいろ』(小峰書店)などがある。