Vol.62 戸田デザイン研究室・戸田やすしさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、『赤ちゃんにおくる絵本』でおなじみの絵本作家・とだこうしろうさんのご子息、戸田やすしさんにご登場いただきます。
これから世界の美しさを感じていく赤ちゃんにおくる作品だからこそ、つくり手が本当によい・美しいデザインと思うものを届けるべき。『赤ちゃんにおくる絵本』は1989年、そんなとだこうしろうの強い思いから誕生しました。
赤ちゃんの身の回りにあるモノや動物を極力シンプルに描き、鮮やかでありながらやさしい色彩・配色で表現する。読み聞かせをするまわりの大人達も幸せな気持ちに包まれるようなデザインを目指していました。
表紙のデザインはかなり悩んでいました。当時はもっとシンプルでスッキリしたデザインを考えたり…今考えると、赤ちゃんを包む込むような明るく、あたたかみのあるデザインにしてよかったなと思っています。
『赤ちゃんにおくる絵本』はその後、2作目、3作目も出版され、今も愛されるロングセラーとなっています。これは、とだこうしろうのモノづくりすべてに共通するのですが、つくるモノの本質を考え、時代に左右されないデザインを目指しているからだと思います。
いつの時代も赤ちゃんは祝福され愛されるべき存在であり、これから世界の美しさ、やさしさを感じていく存在。こうしろうが『赤ちゃんにおくる絵本』に込めた思いが時代を超えて読者の皆さんに届いているかな、とうれしく思っています。
私達の作品には何もルールはないので、自由に遊んでいただけたらと思います。たとえば読み聞かせをして、読んでもらう赤ちゃんも読んであげるママやパパも、美しさや楽しさを感じたり、やさしい気持ちになって愛情を伝え合えたら、こんなにうれしいことはありません。そしてお子さんが大人になって「この絵本好きだった」と思い出してくれたら、最高ですね!
絵本選びについては正解はないと思いますが、強いてあげれば、「楽しい!」「キレイ!」「かわいい!」「かっこいい!」など、ママやパパ自身が心から思うモノを選ぶことが大切かと思います。自分が心からそう思っていれば、赤ちゃんにもその気持ちは必ず伝わります。コミュニケーションが成立して楽しくなりますよ。そして絵本に過度な期待をしない!(笑) 知識や道徳を教えるモノではありません。「楽しい!」「キレイ!」など心が動くことが、長い人生の肥やしになっていくんじゃないかと思っています。
発売から32年経った今年、『赤ちゃんにおくる絵本』MUJI BOOKS 特装版をつくりました。装丁を国産オーガニックコットンの布張りにしてデザインした特別版。無印良品MUJI BOOKSの限定販売ですが、赤ちゃんの成長と一緒にコットンも育てるように、国産オーガニックコットンのタネが付いています。こちらもぜひ、ご覧いただけたらうれしいです。
とだこうしろうさんの絵本『赤ちゃんにおくる絵本』MUJI BOOKS特装版をミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
※MUJI BOOKS特装版は無印良品MUJI BOOKSの限定販売。リンク先は『赤ちゃんにおくる絵本』通常版です。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
戸田 やすし
東京都武蔵野市生まれ。有限会社戸田デザイン研究室 代表取締役。父は絵本作家・とだこうしろう(1931-2011)。雑誌編集、広告制作などの仕事を経て現在の仕事へ。書籍の編集・デザイン、木工品などの制作はもちろん、展示会などの空間デザインからフェアパネル・POPまで、戸田デザイン研究室の制作物すべてを手がける。クールな装丁と大胆な編集が話題を呼んだ『完全版・国旗のえほん』、美しさにこだわり木工職人とつくった『あいうえおつみき』、新しいコンセプトの『Baby book』など、子どもや出版のジャンルを超えたユニークなモノづくりを行なっている。
戸田デザイン研究室 https://toda-design.com/