Vol.61 『おべんとうバス』作者・真珠まりこさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、絵本作家・真珠まりこさんにご登場いただきます。
『おべんとうバス』は、息子が赤ちゃんの頃に発想を得て、自分でつくり、読み聞かせしていたものがもとになっています。お弁当箱に具材を詰める時、お返事して入っていくと楽しいんじゃないかな、と思ってつくりました。
最初はバスに乗るのではなく、幼稚園で呼ばれた人がお返事をする「おべんとうようちえん」というアイデアだったのですが、編集者さんから「お話をもうひと工夫考えて」とアドバイスいただき、最終的にバスの形のお弁当箱に乗っていくというアイデアを思いつきました。
赤ちゃん絵本は文章が短く、とてもシンプルなので、山場をつくるのが難しいのですが、くり返しの中にも変化球のようなページが入るとよいと思います。『おべんとうバス』で言うと、「まだきてないのはだあれ?」のあと、みかんちゃんが「まってー」と言って走ってくるところですね。これがあることで、他の絵本との違いが生まれ、特別なものになったように感じています。
『おべんとうバス』をイベントで読み聞かせをする時は、最初に手遊び歌の練習をしてから、皆さんにも参加していただきます。ハンバーグくんやえびフライちゃんなどの配役を決めて、「はーい!」と返事をしてもらうんです。お子さん達の反応がそれぞれかわいくて、いつも楽しく読んでいます。
絵本をつくる時に大切にしているのは、ことばのリズム。赤ちゃん向けの絵本ではとくに、くり返しのリズムが大事だと思います。それから、黒くはっきりした輪郭線と、明るく鮮やかな色を使うことも意識しています。
うちの息子は『ねないこだれだ』が大好きで、まだことばがうまく話せない時に何度も読んで覚えてしまい、たどたどしく諳んじていました。それがとってもかわいくて、自分もこんな風に何度も「読んで」と言ってもらえる絵本をつくりたいと思いました。
息子が小さい時、おひざの上に抱っこして絵本を読んでいたのは、今から思うと最高に幸せな時間でした。たくさん読んでいるうちに、お子さんが興味を示すこと、好きなものなどがわかってくると思います。そこからお話をふくらませたり、コミュニケーションをとったりして、絵本の思い出をたくさんつくっていただきたいなと思います。
今年の夏には、『おべんとうバス』の続編『おべんとうバスのかくれんぼ』(ひさかたチャイルド)と、20年ほど前の息子との会話をもとにつくった『おつきさまのパンケーキ』(ほるぷ出版)が出版される予定です。ぜひ読んでみてくださいね。
真珠まりこさんの絵本『おべんとうバス』に直筆サインを入れていただきました! ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
真珠 まりこ
神戸生まれ。大阪とニューヨークのデザイン学校で絵本制作を学ぶ。1998年、『A Pumpkin Story』(2000年に『かぼちゃものがたり』(学研)として日本でも出版)で絵本作家デビュー。2004年、『もったいないばあさん』(講談社)でけんぶち絵本の里大賞、ようちえん絵本大賞を受賞。もったいないばあさんはキャラクターが人気となり、毎日新聞、朝日小学生新聞などで連載、2020年にはアニメとなって、6カ国語で公開されている。他の作品に、『おべんとうバス』『おたからパン』(以上ひさかたチャイルド)、『おててかいじゅう つみきのまちへ』(PHP研究所)、『まあるくなーれ わになれ』(鈴木出版)などがある。