Vol.48 『バナナをもって』作者・浦中こういちさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は浦中こういちさんにご登場いただきます。
僕の夢はふたつありました。ひとつは保育士、そしてふたつ目が絵本作家。先に保育士になるという夢が実現したのですが、保育士として子ども達の前で絵本を読んでいて、子ども達のキラキラした瞳を見ているうちに、絵本作家になるというもうひとつの夢を思い出したんです。それで、保育士をしながら絵本コンクールに応募したり、出版社に持ち込んだりするようになりました。結果は惨敗だったんですけどね(苦笑)
その後僕は、9年間務めた保育園を退職して、あそび作家として活動するようになりました。ワークショップで人気なのが「紙皿シアター」という、紙皿を使った遊びなんですが、それをアレンジしてできあがったのがデビュー作の絵本『バナナをもって』です。
最初は紙皿の形のまま絵本にしようと検討していたのですが、丸い形はコストもかかりすぎて難しいことがわかり、あえなく断念。それなら普通の絵本の形でつくろうということになって、編集者さんと話し合いながら何回もダミーをつくり、タイトルや文章、動物達のアングルなどもすべて見直して、ようやく完成しました。
読み聞かせのコツは、とにかく楽しく読むこと! 僕は一緒に手をあげて「トントントン」とノックしたり、『キャベツをもって』では一緒に手を叩いたり、『ケーキをもって』では「プップップードンドコドン!」とやったりしながら読み聞かせしています。
『ぴったんこ』では、保育士時代につくったあそび歌を絵本化しました。子ども達って、ぴったりくっつくと落ち着くんですよね。大人もなんだかホッとする気がしませんか。そんな魔法の「ぴったんこ」を、絵本をきっかけにたくさんの方達に味わっていただけたらなと。楽譜も載っているので、歌いながら楽しんでもらえたらうれしいですね。
新作『くだものいっぱい』はタイトルの通り、イチゴやバナナ、ぶどうなど果物がずらりと並んだ絵本です。同じ果物でも品種によって色や形もいろんなものがあるんですよ。本物の果物や図鑑などを参考にしながら、おいしく見えるように細部までこだわって描きました。
僕には4歳と2歳の息子がいるので、家でも絵本の読み聞かせをしています。息子が0歳の頃には、だっこしながら『バナナをもって』の話をして寝かしつけようとしたこともありました。そういう時は元気に読むのではなくて、ささやくように読んでいましたね。寝たかどうかは別として、ゆったりとした時間を過ごすことができたように思います。赤ちゃん絵本は、赤ちゃんとその空間や時間を共有するためのひとつのツール。元気に読んだり、場合によっては静かに読んだりして、親子一緒のあったかい時間を過ごしてもらえたらいいなと思います。
浦中こういちさんの絵本『ぴったんこ』に直筆サインを入れていただきました! ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
浦中 こういち(うらなか こういち)
1979年、三重県生まれ。9年間勤めた保育園を退職後、フリーのイラストレーター、あそび作家として活動をスタート。『バナナをもって』(クレヨンハウス)で絵本作家デビュー。その他の作品に『キャベツをもって』『ケーキをもって』『くだものいっぱい』(クレヨンハウス)、『ぴったんこ』(鈴木出版)などがある。