Vol.41 『もいもい』作者・市原淳さんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は市原淳さんにご登場いただきます。
『もいもい』は、東京大学あかちゃんラボの「あかちゃん学絵本プロジェクト」の企画でつくった絵本です。最初に「もいもい」ということばがあって、その語感からイメージされる絵を描いてください、と言われたんですね。絵本になることを想定して、「もい」と「もい」のふたりとして描けば面白い展開になりそうだなと思い、スケッチブックに落書きのような「もいもい」を描き始めました。
体ははっきりとした色で、やわらかそうだけど中心に核のような物もほしいな、ちょっとオシャレ感も出したいな…などと考えながら、いろいろな形の「もいもい」を数十個、自由に描いてみて、最後に「もし自分が赤ちゃんだったら、どんな形が好きかな」という観点からこの絵を選びました。たぶんこの「なんとなく赤ちゃん目線で選ぶ」という作業がうまくいったから、たくさんの赤ちゃんの支持を得る絵本になったのではないかなと思っています。
『もいもい』の他にも『あーん』や『たまごのうた』、『わーらった』など、これまでにいくつも赤ちゃん絵本を手がけていますが、いつも心がけているのは、赤ちゃんにわかりやすい絵にすること。あとは、背景色をなるべくページごとに変えて、楽しい展開になるように工夫しています。
『このドア だれのドア?』では、あそびうたのお兄さん・鈴木翼さんのつくったうたを絵本にしました。ドアを順番に開けていくという展開なのですが、元の歌詞はとても短いもので、誰が何のためにドアを開けているのかという説明はなかったんですね。なので絵本にするにあたって、僕が自由に考えさせてもらいました。ペンギンくんが誰の家を探していたのか、裏表紙を見るとわかるようになっているので、最後までどうぞお見逃しなく!
赤ちゃん絵本を読む時のポイントは、ちゃんと読まなくてもいい、ということ。「最初から最後まで全部読んであげなくちゃ!」という読み手の緊張感は、赤ちゃんにとってプレッシャーになるかもしれません。どのページからでも、お気に入りのページだけでも、文章を勝手につくり変えてしまってもいいんです。だっこや添い寝をしてもらって、近くでパパやママの声が聞こえるだけで、赤ちゃんにとってはとてもハッピーなことなのですから。
なめて紙がふにゃふにゃになったり、破ってぼろぼろになるのも、体験してみなくてはわかりません。その感覚を記憶して成長したら、きっといつかは大切に本が読める子になると思います。どうぞ叱らないで見守ってあげてくださいね。
市原淳さんが絵を担当された絵本『このドア だれのドア?』に直筆サインを入れていただきました! ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
『このドア だれのドア?』のご紹介はこちら
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
市原 淳(いちはら じゅん)
愛知県生まれ。大阪芸術大学デザイン学課卒業。イラストレーター、絵本作家。主な絵本に「トンネルねるくん」シリーズ(文・山本省三、くもん出版)、『にっこり にこにこ』(文・風木一人、講談社)、『すごいくるま』(教育画劇)、『ふたごのひつじ ポコとモコ』(ポプラ社)、『もいもい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『あーん』(えほんの杜)などがある。
市原淳のイラストレーション http://ichiharajun.com/