Vol.15 『ごあいさつあそび』作者・きむらゆういちさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回はきむらゆういちさんにご登場いただきます。
『ごあいさつあそび』、『いないいないばああそび』、『いただきますあそび』の3冊同時出版から始まった「あかちゃんのあそびえほん」シリーズは、来年で創刊30周年。最新作の『へんがおあそび』を入れると全部で14作、出版されています。
子育ての中から生まれた絵本だということは、以前のインタビューでもお話ししましたね。当時は今ほど赤ちゃん絵本がなかったので、どういうものが赤ちゃんにうけるのかわからずにつくっていたんですが、つくり続けていく中で気づいたのは、このシリーズの多くが、対面でのやりとり遊びと同じ構造になっているということです。
本来、あらゆる物語には主人公がいて、その主人公に感情移入することで物語の世界にのめり込んでいくわけですが、赤ちゃんにとってそれはまだ難しい。でも、自分は自分のままで、お母さんやお父さんがいないいないばあをしてくれるのと同じように、絵本が自分に向かっていないいないばあをしてくれるなら、すんなり入れるんですよね。
このシリーズがたくさんの赤ちゃんに愛された理由は、そのあたりにあるんじゃないかなと思っています。
「あかちゃんのあそびえほん」をつくる中で心がけてきたのは、工夫しすぎないことです。
つい前作より面白いものにしようと考えたり、話に奥行きをもたせようとしたりしてしまうんですが、そんなことをするとかえって複雑になって、失敗するんですよね。だから、工夫しすぎず、シンプルにつくることを心がけています。それと、赤ちゃんにとって心地よいニュアンスを探ることも大事。理屈よりも感覚で、自然に生まれるドキドキやリズムを大切にしています。
絵本は、親と子をつなぐ便利ツールです。特に子育てに慣れていないお父さんには、ぜひおすすめしたいですね。どうやって赤ちゃんの相手をしたらいいのか困ってしまったら、絵本の出番。ひざの上に座らせて読むだけで、楽しい時間が過ごせますよ。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
きむら ゆういち
東京都生まれ。多摩美術大学卒業。造形教室、テレビ幼児番組のアイデアブレーンなどを経て絵本・童話作家に。累計1200万部を越えるベストセラー「あかちゃんのあそびえほん」シリーズ(偕成社)をはじめ、著書は600冊以上にのぼる。『あらしのよるに』(絵・あべ弘士、講談社)で講談社出版文化賞絵本賞など数々の賞を受賞。その他の絵本に『どうするどうするあなのなか』(絵・高畠純、福音館書店)、『あっかんべろ~ん』(小学館)などがある。
きむらゆういち オフィシャルサイト http://www.kimura-yuuichi.com/