Vol.14 『おふねにのって』作者・スギヤマカナヨさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回はスギヤマカナヨさんにご登場いただきます。
最近、私が初めてつくった赤ちゃん絵本『おふねにのって』が新装版となって復刊されました。この絵本はもともと、1998年に「こどものとも0.1.2.」(福音館書店)の一冊として世に出たものです。でもその頃は「赤ちゃん絵本」という言葉自体まだ馴染みが薄く、子育て経験のなかった私は、どんなものをつくっていいのか迷ってしまったんですね。
そこで、友人の赤ちゃんと過ごす機会を何度かいただきました。その中で、赤ちゃんが話し言葉よりもオノマトペに反応したり、シンプルではっきりした色や形に興味を示したりすることが多いと感じたのです。それで、言葉のリズムや色、形を軸に据えながら、親子のコミュニケーションツールになりうる絵本を目指したいという思いに至り、この絵本が生まれました。
ママやパパのおひざの上でゆーらゆらしたり、「どしーん」「ざっぱーん」のところでひっくり返ったり、「ぎゅうぎゅうぎゅう」でぎゅっとハグしたり…この絵本を通じて、親子で楽しいひとときを過ごしてもらえたらうれしいです。
昨年、日本でのブックスタートの15周年にあたって、アドバイスブックレットの改訂があり、その構成と絵を担当しました。「赤ちゃんと絵本を開く時間の楽しさ」を伝える冊子なのですが、それをつくる過程で改めて思ったのは、赤ちゃんとまわりの大人の間に上手に入っていけるような絵本が必要なんだな、ということです。
赤ちゃんへの読み聞かせを始めたばかりの頃は、反応こそが何よりのバロメーター。本当は、赤ちゃんはうまくアウトプットできないだけで、たとえ反応がなかったとしても、必ず記憶のどこかにインプットされているはずなのですが、それでもやはり何も反応がないと、わかっているのかな、大丈夫かな、と不安になってしまいますよね。
そんな時に、ただ読むだけではなくて、一緒に遊びながら楽しめる絵本がいくつかあるといいなと思うんです。絵本を読みながらふれあったり、やりとりを楽しんだり…赤ちゃんが喜ぶと読む側のママやパパもうれしくなるし、反応が返ってくれば安心感、満足感にもつながります。
絵本の読み聞かせを楽しく続けてもらうためにも、みんなで一緒に楽しめる絵本をこれからも生み出していきたいと思っています。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
スギヤマ カナヨ
1967年、静岡県生まれ。東京学芸大学初等科美術卒業。主な作品に『ぼくのおべんとう』『わたしのおべんとう』(アリス館)、『あかちゃんがうまれたらなるなるなんになる?』(ポプラ社)、『ほんちゃん』(偕成社)、『おかあさんは おこりんぼうせいじん』(PHP研究所)、『いっしょにごはん』『やってみよう!あいうえお』(くもん出版)、『あかちゃんはおかあさんとこうしておはなししています』『おかあさん、すごい!』(赤ちゃんとママ社)などがある。