Vol.12 『どんどこ ももんちゃん』の絵本作家とよたかずひこさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、とよたかずひこさんにご登場いただきます。
「ももんちゃん」のシリーズは、しかけ絵本『おめでとうのももんちゃん』も含めるとこれまでに19作つくっていて、今は20作目に取りかかっています。
ももんちゃんは自立したスーパー赤ちゃんで、お母さんの手を離れて、いつも勝手に遊んでいます。実は「おかあさん」ということば自体、ほとんど出てこないんですよ。『ももんちゃん えーんえーん』と『すりすり ももんちゃん』の2作だけ、話の流れの都合上やむを得ず出しましたが、それ以外では一切、ももんちゃんは「おかあさん」と言っていないんです。
もちろんお母さんの存在というのはすごく大きいし、最後にお母さんのところに戻って「ぎゅっ」とか「ちゅっ」で終わる、という展開は安心感があっていいと思うんですが、そういう絵本はすでにたくさんありますよね。それならあえて父親目線で、凛々しくたくましい赤ちゃんを描こうかなと。そうして生まれたのが、ももんちゃんなんです。
裏表紙には、お母さんの元に戻った様子をちらっと描いていますが、本文では母と子のやりとりのシーンを意図的に避けるようにしています。母子べったりじゃないのがいいのか、『どんどこももんちゃん』はお父さんにウケがいいんですよ(笑)
僕のつくる絵本は幼児向けのものが多いので、読み聞かせする親御さんが心地よく読めるように、ということを意識しています。日常を描くので、お話はそれほどダイナミックなものにはなりません。ある意味凡庸で、「あれ、これで終わり?」みたいな感じだったりするんですが、だからこそくり返し読まれるものになると思うんです。幼児向けの絵本というのは、いい意味で保守的なんですね。奇想天外、大事件は起きなくていいんです。
最新作は「はなしかけえほん」というシリーズの『だれかな? だれかな?』です。赤ちゃんへの読み聞かせは、絵を見ながら自由にやりとりを楽しんでもらえればいいと思っているんですが、あまりに読み手任せにしてしまうと、どう読んだらいいのか戸惑ってしまう親御さんも多いらしいんですね。だから帯に「テキスト通りに、読まなくてもだいじょうぶ」というメッセージを入れた上で、話しかけのための絵本をつくりました。
絵本を読みながらいっぱい語りかけて、親子のやりとりの時間を楽しんでもらえたらうれしいです。
とよたかずひこさんの最新作『だれかな? だれかな?』に直筆サインを入れていただきました!
ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
最新作『だれかな? だれかな?』のご紹介はこちら
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
とよた かずひこ
1947年、宮城県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。主な作品に、『どんどこももんちゃん』(第7回日本絵本賞)などの「ももんちゃんあそぼう」シリーズ、『おにぎりさんがね・・』などの「おいしいともだち」シリーズ(以上、童心社)、『やまのおふろやさん』などの「ぽかぽかおふろ」シリーズ(ひさかたチャイルド)、『でんしゃにのって』などの「うららちゃんののりものえほん」シリーズ、『コトコトでんしゃ』などの「あかちゃんのりものえほん」シリーズ(以上アリス館)などがある。