赤ちゃん絵本を楽しもう!

Vol.7 『かおかおどんなかお』担当編集者・関谷裕子さんインタビュー

Vol.7 『かおかおどんなかお』担当編集者・関谷裕子さんインタビュー

赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、柳原良平さんのロングセラー『かおかおどんなかお』を担当されたこぐま社の編集者・関谷裕子さんにご登場いただきます。

出版30周年を前に、まもなく100刷発行!『かおかおどんなかお』誕生秘話

この絵本が出る1年前、1987年のお正月に、日本橋で開かれていた「漫画家の絵本の会」の展覧会に行きました。その時に柳原先生が発表されていた顔の表情集が、『かおかおどんなかお』の原型です。泣いた顔、笑った顔など、ある意味表情の羅列ではありましたが、ひと目で人の心を引きつけるような独特の強さがあって、見た途端に「赤ちゃん絵本になる!」と叫んでしまいました。

赤ちゃん絵本として出版するために、柳原先生には“はじまり”と“終わり”を考えていただきました。目がふたつ、鼻がひとつ、口もひとつ、という最初の部分は、すぐにアイデアが浮かんだものの、終わりのところはだいぶ悩まれたようです。そして、「いいかお」のあと、顔半分が舞台から退場していく「おしまい さよならのかお」で、終わることができました。

表情の豊かな、心の変化に気のつく人間に育ってほしい

この絵本の魅力は何と言っても、目、鼻、口と、輪郭線の形と色のみで、人の感情を表現し、読者の親子にいろいろな表情をさせてしまうことだと思います。多くの赤ちゃんは、絵本の顔と読み手のお母さんやお父さんの顔を見比べます。すると親の方は、自然に百面相をしてしまうというのです。喜ばせたいという気持ちもあるでしょうが、親子一緒に、この絵本の世界に引き込まれてしまうのでしょう。

柳原先生は子ども達に、ものの名前だけでなく、「うれしい、楽しい、といった気持ちのことば」も覚えてほしいと言われていました。そのことによって、「表情の豊かな、心の変化に気のつく人間に育っていくこと」を望まれていました。

アンクルトリスの生みの親であり、コマーシャルの世界でも活躍された先生ですが、「赤ちゃんは柳原良平なんて名前は知らない。だから僕も赤ちゃんとは真剣勝負です」と言われて、私達も感動しました。『かおかおどんなかお』で赤ちゃんと向き合う面白さに気づかれた柳原先生の『やさいだいすき』『のりものいっぱい』などその他の絵本も、どうぞお楽しみください。

ミーテ プレゼント情報

柳原良平さんの『ミニえほん かおかおどんなかお』『ミニえほん やさいだいすき』をセットでミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。

※ミーテ会員登録がまだの方は、登録後、ご応募ください。会員登録はこちら

プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

応募期間
12月13日(火)~12月26日(月)

作者プロフィール

柳原 良平(やなぎはら りょうへい)

1931年、東京都生まれ。イラストレーター、漫画家、絵本作家。京都市立美術大学卒業後、寿屋(現サントリー)に入社。CMキャラクター「アンクルトリス」を生み出す。電通賞、毎日産業デザイン賞など受賞多数。イラストレーターの先駆けとして、広告のみならず、絵本、本の装丁などの分野でも活躍。主な絵本作品に『かおかおどんなかお』『やさいだいすき』『ゆめにこにこ』(いずれもこぐま社)など。無類の船好きとしても有名で、船に関する著書も多い。2015年8月、逝去。


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