絵本作家インタビュー

vol.153 スーパーデュオ ケロポンズさん(前編)

絵本作家さんや絵本の専門家の方々に、絵本についての思いやこだわりを語っていただく「ミーテカフェインタビュー」。今回はスーパー保育デュオとして舞台などで大活躍のケロポンズさんにご登場いただきます。ケロちゃんことますだゆうこさんは、「ケロちゃんえほん」シリーズや「季節の行事絵本」シリーズで人気。ポンちゃんこと平田明子さんは、『モジャキのくすり』で絵本作家デビューをされました。2人の出会いから、絵本や表現への思いなど、笑いを交えつつたっぷりと伺ってきました。
今回は【前編】をお届けします。(【後編】はこちら→

ケロポンズ

ケロポンズ

1999年結成。ケロことますだゆうこさんと、ポンこと平田明子さんの2人組のスーパー保育デュオ。親子や保育者を対象にした、歌や遊び、体操、ミュージックパネルなどのステージを全国各地で開催。主な絵本作品に、ますださんは、「ケロちゃんえほんシリーズ」や「季節の行事絵本シリーズ」など多数。平田さんは『モジャキのくすり』がデビュー作。ケロポンズ名義で「フトッチーニとホソッチーニ」シリーズ。
公式ホームページ カエルちゃんネット https://www.kaeruchan.net/

子どもの頃に出会った絵本たち

ケロポンズ ますだゆうこさん

ますだゆうこさん(ケロちゃん・以下敬称略) 小さい時から絵本が大好きだったんです。お母さんが岩波のシリーズをいっぱい買ってくれたので、名作という名作を小さい頃から。『わたしとあそんで』とか『もりのなか』とか好きでしたね。

中でも『おやすみなさいフランシス』は、本当に大好きで。私もフランシスと同じで、例えば嵐の夜などは怖くて、親のところに行って「一緒に寝て……いいですか?」って。そういう思い出も相まって特別な絵本になっています。ガース・ウィリアムズの絵が好きだったのかな。『しろいうさぎとくろいうさぎ』の、ウサギの毛がホワホワと柔らかい感じも好きでしたね。

大学に入ってからも絵本が好きで、ありとあらゆる絵本屋に行っていました。その頃長新太さんの本に出会って、『キャベツくん』とか「なんじゃもんじゃはかせ」のシリーズとかね。今まで自分が見てきたものと違って、もう衝撃を受けました。それまで絵本というと、ほんわかしたイメージがあったんです。目からウロコが落ちましたよ。日本の絵本作家ってすごかったんだなと、その時やっと認識したんですよね。

ケロポンズ 平田明子さん


平田明子さん(ポンちゃん・以下敬称略)
 私も寝る時は親に必ず読んでもらっていました。兄がいたので『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』に『おやすみなさいのほん』。かこさとしさんの『どろぼうがっこう』とか『からすのぱんやさん』は、細かいところまで見ていましたね。ただ田舎だったし冊数はなくて、10冊くらいの本を繰り返し読んでいました。

母が寝る前に必ず1冊読んでくれたんで、私も子どもたち(双子の女の子)が小さい頃には寝る前に必ず1冊読み聞かせていました。

ますだ 周りに絵本作家さんが多いこともあって、子どもたちは相当たくさんの本を読んでいるよね。

平田 会うたびに皆さんからいただいたり、買ったり、子どもあてにサインしてもらったりね。子どもたちが好きだったのは、『だっこ だっこ ねえ だっこ』、『もこもこもこ』。『ロージーのおさんぽ』は、小さい頃にものすごい何回も読みましたね。「ケロちゃんえほん」ももちろん読んでいましたよ。

ますだ 申し訳ございません(笑)

平田 まんべんなくいろんなものを読みましたね。寝る時は私が選んで、昼間は本棚から自分たちで好きなのを出して見ていました。結構小さい頃からだったんで、「ロージー」は何回も破れて、テープで貼って。そんな感じで読んでいましたね。

「ペチペチ!」からケロポンズが始まった

ますだ バンド「トラや帽子店」をやっていた頃に、子どもの絵本専門店のクレヨンハウスとメルヘンハウスとメリーゴーランドが主催の、サマーカレッジというのがあったんです。絵本作家の先生たちの講演会があって、トラや帽子店は毎年最後に、親子で遊ぶコンサートをやっていたんです。

2泊3日の合宿形式だったので、会いたかった作家さんが、一緒にご飯食べる会場にいるわけですよ。夢のようでした。トラや帽子店は講師の立場だったので、いろんな絵本作家さんを生で見て、講演会も聞いて、お話もできて、長さんも、本当にちょっとなんですけれどお会いできてすごくうれしかったです。そのサマカレに、当時学生だったポンちゃんが受講生で来たのよね。

平田 その時にね、私参加者で、ケロちゃんは講師なんですけれど、すれ違ったら急に肩をペチペチって叩かれまして「あんたさ、オオタちゃんに似ているよ!」って(笑) それが初対面。

ますだ オオタちゃんというのは、トラやのマネージャーだった人でね。なんか親しみやすくて、ついペチペチと……(笑)

平田 私まだコンサートを見ていなかったので、「トラや帽子店のパネルシアターの連載している人だな」とは思いましたが、「変わった人だなぁ」って軽く引き気味?(笑) ちょっとうれしかったけど!

ますだ 叩きやすかったのね。花道を帰るおすもうさんにするみたいで。

平田 こら~! その後でね、トラや帽子店がサマカレの最後にお祭りみたいなコンサートをやっていて、「こんな楽しいものが世の中にあったのか!」って衝撃を受けたんです。「楽しい」ってそれだけで、大人も子どももみんなハッピーにできるんだ! と思って。それでトラや帽子店にハマりました。

ますだ その後、ポンちゃんが、広島でお客さんを800人も呼んでトラやのコンサートを主催したのよ。学生なのに。

平田 大学4年でヒマだったし、みんな手伝ってくれたんでね。手売りで保育園や幼稚園を回って。「お金は当日もらえばいいですから、来られたら来てください!」って、実際先にお金をもらっていたのは150人くらい(笑) まぁ自分たちが見られるしいいかって言ってたら、結果800人超えたんです。あれは感動しましたね。

絵本も子どもたちをハッピーにするけれど、音楽も子どもたちを幸せにしますよね。ただ私が知っている子どもの音楽って、子どもは聞いて喜んでいて、親は「うちの子喜んでいるわ、よかった」みたいなイメージだったんですけれど、トラや帽子店は、親が椅子から転げ落ちそうになって笑っている横で子どもも楽しんでいた。なんてハッピーな世界だろうって思いましたね。その後教員採用試験にメデタク落ちまして(笑)東京に出てきたんですが、それがたまたまケロちゃんの家の近所。

ますだ ときどきご飯食べたり、お酒飲んだりしたんだよね。その頃私がパネルシアターの講習会が忙しくなってきて、ポンちゃんに伴奏してもらうようになりました。ずいぶん長い間伴奏者としてやってもらっていて、トラや帽子店が解散した時に「これからどうしよう?」となって……。「そうだ! トラやと同じようなことを2人でやろう」って言って、ケロポンズを結成したというわけなんでございますよ。今、思っても不思議な出会いだね。

ケロちゃんのデビュー作「むぎちゃん」シリーズと『とのさまのひげ』

ますだ 私の最初の絵本は『むぎちゃんのすなば』『むぎちゃんのピクニックシート』、その後に『とのさまのひげ』。これは、トムズボックスの土井章史さんが、私の遊び歌を聞いてくれて、「文章書いてみたら?」っておっしゃってくださったんですよ。

絵本という世界が好きだったんで、「来たよ!やっと来た!」って感じでした(笑) 絶対書きたいと思って、すぐにつくって土井さんのところに持っていったんです。ああだこうだとアドバイスをいただいて、おかげさまで初めて文章を書いた本ができあがりました。本当にありがたいお話。

ケロポンズを結成した頃から、中川ひろたかさんが「ますだのパネルシアター、全部絵本になるぞ」と言ってくださっていたんです。ただパネルを絵本にするってどうかなって、その時は自分の中で腑に落ちていなくて。絵本ではパネルと違うことを書きたいと思って、話をあたためていたんです。自分が小さい時にヒゲつけたり、ゴザを庭に広げたりして遊んだことを、絵本にしたいなって。

最初に「むぎちゃん」と『とのさまのヒゲ』を出させてもらったから、パネルシアターの絵本もつくれる自信がついたと思います。

むぎちゃんのすなば

▲おかっぱあたまのむぎちゃん。砂場の穴にも、ピクニックシートにも、たくさんのお客さんがやってきます。『むぎちゃんのすなば』『むぎちゃんのピクニックシート』(作・ますだゆうこ、絵・ひだきょうこ 偕成社)

とのさまのひげ

▲いばりんぼうの殿さまの顔から、ヒゲがぴょんぴょん逃げだした! いろんなものにくっついて隠れて、なかなか見つかりません……『とのさまのひげ』(作・ますだゆうこ、絵・国松エリカ 偕成社) ※現在は絶版


……ケロポンズさんのインタビューは後編へとまだまだ続きます。(【後編】はこちら→


ページトップへ