絵本作家インタビュー

vol.141 絵本作家 よねづゆうすけさん(後編)

絵本作家さんや絵本の専門家の方々に、絵本についての思いやこだわりを語っていただく「ミーテカフェインタビュー」。今回ご登場いただくのは、しかけ絵本『のりものつみき』や「だーれ?」シリーズなどが世界中で人気の絵本作家・よねづゆうすけさんです。シンプルで色鮮やかなしかけ絵本は、子どもはもちろん大人にも支持されています。絵本作家になったきっかけや、もうすぐ1歳になるというお子さんとの絵本の関わり方を伺いました。
←【前編】はこちら

絵本作家・よねづ ゆうすけさん

よねづ ゆうすけ

1982年、東京都生まれ。東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程卒業。2005年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。2007年『Bye-ByeBinky』(日本未発売)で絵本作家デビュー。日本語に翻訳された絵本に『のりものつみき』『にじいろカメレオン』『たべもの だーれ?』(以上、講談社)などがある。イラストレーターとしても活躍中。
ウェブサイト:http://yonezoo.com/

小さい頃から工作が好き。空き箱をためこんでいました

よねづゆうすけさん

小さい頃は、おとなしい方だったと思うんですけど、物をつくるのは好きでした。母親が大きい段ボールの中に、空き箱やラップの芯をためこんでおいてくれていて、それで何かをつくっていたらしいんです。何をつくっていたのかは覚えていないんですけどね。

小学生になっても、絵を描くのも得意で、よく賞をもらったりすることはあったんですけど、好きかというのはよく分からなかったんですよね。それよりも工作の方が好きだった。だから1日中絵を描いていたというよりは、机に向かって宿題をしている時に、こっそりノートの下とかに絵は描いていたような感じでしたね(笑)

子ども時代の文集には、サッカーをやっていたので将来の夢はサッカー選手と書いていたのですが、父親が靴をつくる仕事をしていたので、靴の仕事を継ぎたいなみたいな、職人にあこがれる気持ちがありました。

今でも思うのは、好きだからこういう職業についたというよりは、得意だからこういう職業についたのかなとは思います。好きが職業になった人もいると思うんですけど、僕の場合は、自分は何ができるかなと考えた時に、改めて自分を見つめ直した結果、何かつくることなのかなと思いました。

絵本の読み聞かせは、親も楽しく

たべもの だーれ?

▲食べ物にだれかが隠れてる? シンプルだけどおどろきがいっぱいのしかけ絵本。『たべもの だーれ?』(講談社)

おはな だーれ?

▲お花に隠れているのはだれ? めくって楽しいしかけ絵本です。『おはな だーれ?』(講談社)

絵本は幼稚園の時に、『めっきらもっきら どおんどん』や『おふろだいすき』を、母親によく読んでもらったのを覚えています。もうボロボロになっているんですけど、その頃読んでもらった絵本は今もとっておいてくれていて、今度は自分の子どもにも見せてみようと思っています。

絵本は寝る前に読んでもらっていた記憶がありますね。あとは母親が言うには、絵本もそうですけど、ウルトラマンとかもすごく好きだったみたいで、そういう絵本もすごく読まされたと言っていました。自分ではあんまり覚えていないんですけどね。

僕も子どもが絵本を読んで欲しいと言ってきたら、どんな絵本でも嫌がらずに読んであげようと思っています。今でも似たようなことがあるんですよ。絵本を読んでて、最後「おしまい」というと「わー!」と、もう1回読めというしぐさをするので、もう1回読んであげると、途中でどこかに行ってしまったり……。

でも、読み方を変えて早口で読んだりすると「なんだ、なんだ?」って顔で、また寄ってきたりします。ほかにも、絵本を文章通り読むだけじゃなくて、好きに言葉を換えたり、加えたり、どかーん!とか、びゅーん! とか擬音だけで読んでもいいと思います。

僕も子どもに絵本を選ぶ時は、お話がおもしろいものを選ぶというよりは、絵が認識できるようなものを選ぶようにしていて、良さそうだと思ったら英語版でも購入して、適当に日本語をつけながら読んでいます。

そうすれば気楽に読み聞かせを楽しめるんじゃないかと思いますね。子どもが楽しむのも大切ですけど、読んであげる方も楽しめるようにするのが、読み聞かせのコツというか、ポイントじゃないかと思います。

とくに赤ちゃんの頃は、絵本を読んであげてると言うよりは、絵本で一緒に遊ぶという感覚で接するといいんじゃないかと思うし、僕自身もそうしています。「だーれ?」シリーズは、紙質も頑丈になっていているので、赤ちゃんに与えてもぐちゃぐちゃになりませんし、めくるのは手先の運動になったりするので、おもちゃ感覚で与えるのに最適だと思います。

今は親の好みで絵本を選んでいますが、色んな絵本をたくさん読んであげたいと思っています。そこから子どもがどんなのが好きなのかというのも分かると思うし、読んであげた時の反応もしっかり見てみたいと思っています。

絵本をおもちゃのように楽しんでもらいたい

よねづゆうすけさん

育児は大変だけれども、人として成長するというのもありますし、絵本のアイデアをまず子どもに見せて反応を見ることができるので、絵本づくりの方でも得ることがあるのかなと思います。赤ちゃんでも認識できるように、輪郭を太くしているのですが、見せてちゃんと目で追っているな、と確認できたりとか。

自宅で仕事をしているので、子どもとはいつも一緒。子どもが生まれてから生活スタイルはかなり変わり、なかなか前みたいに仕事をすることが難しくなりましたし、作業時間も減ったかなとは思います。でもそのぶん集中してやるようにはなったとは思います。

しかし、子どもの成長は早いですね。昨日できなかったことが、次の日にはできたりもするんですよね。小さい子用のクレヨンを買ったんですけど、絵を描けるようになったら、どういう絵を描くのかとか、子どもの絵からヒントもらったりするのかな、とちょっと楽しみにしています。

今後もアイデアが尽きないかぎり、しかけ絵本を出していきたいと思っています。そして、しかけ絵本だけでなく、ストーリー絵本も出していきたいと考えています。これからもつくり手としては自己満足にならず、子どものために子どものことを思った絵本を出していきたいですね。しかけ絵本は、赤ちゃんから楽しめる絵本なので、おもちゃとして親子のコミュニケーションに役立ててもらえたらうれしいです。


ページトップへ