毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、かとうあじゅさんによる『じっちょりんのあるくみち』。2011年に出版された人気シリーズの第1作です。
人の気づかないところで、せっせと野の花の種を植えて歩く小さなじっちょりんの家族。団地の隅で朝ごはんを食べると、今日も団地の外へとお出かけして、コンクリートの道や電信柱の根元などに、種を丁寧に植えていきます。野に咲く小さな花を愛でたくなる、かわいらしいお話です。
虫のようでもあり、植物の妖精のようでもある、謎の生き物じっちょりん。大きさは、1センチくらい。小さいだけではなく、隠れるのが得意なので、我々の目に触れることはほとんどありません。ですが、街中の、私達のすぐそばで暮らしているのです。
食べ物は、花びらや葉っぱ、花粉や蜜。花の種は食べずに、街のあちこちに植えて歩くのが、じっちょりんの大事な仕事です。コンクリートの道や壁の小さな隙間など「こんなところに!?」という場所から草花が生えているのは、実はじっちょりんのおかげだったのです。
お話には、たくさんの草花が登場します。かたばみ、へびいちご、おおいぬのふぐり…など、普段は「雑草」とまとめて呼んでいる草花に名前が添えられ、黄色や青、オレンジ、紫など色とりどりの美しい花を見ることができます。見たことは何度もあるけれど、この絵本で初めて名前を知ったという方も少なくないのでは。
読み終わった後、街に出てみれば、普段の見慣れた景色がぐっと変わって見えることでしょう。じっちょりんを案内人に、草花の名前を知り、花を知ることで、街中が「雑草」によって美しく彩られていることに気がつくはず。この絵本の最大の魅力であり、子どもだけではなく大人にもファンが多い理由でしょう。
最後のページには、街の俯瞰図が載っています。じっちょりんの歩いた道をたどる楽しさ、じっちょりん視点で見上げていた景色の全体像が明かされる面白さがあります。さらに、どのページにも小さなハートが隠れているというお楽しみも。「幼いころの絵本が好きな気持ちのまま現在に至る」と著者紹介されている、かとうさんならではの、絵本を楽しみつくすしかけがいっぱいの絵本なのです。
<ミーテ会員さんのお声>
幼稚園でもらった絵本『じっちょりんのあるくみち』。これが親子共にツボにはまる絵本でした。日ごろ道を歩いてると「なんでこんなところに生えてんの?」と思う場所に雑草が生えてるけど、この絵本で妙に納得。長男は、雑草見つけるたびに「じっちょりんだ!」と大喜びです。(1歳3か月と4歳5か月の男の子のママ)
シリーズは他に、『じっちょりんとおつきさま』、『じっちょりんの なつのいちにち』、『じっちょりんのふゆのみち』があります。あわせて読めば、じっちょりんの世界がより広がりますよ。
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