毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、B・K・ウィルソンさんによる『こねこのチョコレート』。1964年に『A Story to Tell』の一話として掲載され、2004年に大社玲子さんの絵、小林いづみさんの訳で日本で絵本化されたロングセラーです。
ジェニーは4歳の女の子。明日は、弟のクリストファーの誕生日です。ジェニーは、お母さんとプレゼントを買いに出かけ、こねこのチョコレートを買いました。けれども、その晩、ジェニーはおいしそうなチョコレートのことで頭がいっぱいで眠れません。とうとうベッドを抜け出して…。
まず主人公のジェニーの人柄が描かれます。自分のお小遣いからプレゼントを買うほどの弟思い。自分の好きなものがいっぱいのおもちゃ屋でも、お菓子屋でも、わがままを言わず、ちゃんと弟のプレゼントが買えるしっかりもののいいお姉ちゃん。でも、そうはいっても4歳の女の子なのです。
大好きなチョコレートが8つも入った箱が、ベッドから数歩のところにあって誰ががまんできるでしょうか。ひとつだけ…あとひとつだけ…。ここでは、ジェニーの気持ちの揺れが丁寧に描かれていきます。ダメとわかっていてもがまんできない…他人事ではなく誰にでもある気持ちの葛藤だと伝わった頃、8つのチョコレートは、ジェニーのおなかに消えていきます。
ただ、チョコレートは弟へのプレゼントでした。プレゼントで弟を喜ばせかったのも、チョコレートをがまんできなかったのも、どちらもジェニーの本物の気持ちです。空っぽの箱を持ったジェニーの表情は、恥ずかしさと後悔で今にも泣きだしそう。読み聞かせを聞く子ども達は、ジェニーと共に息を殺すようにして、事件発覚の瞬間を待つことでしょう。
このお話が長く愛され続けている理由は、この後の展開にあります。おばあさんは、即座にジェニーのしてしまったことに気が付きますが、終始笑顔のまま。そして、飼い猫のティブルがうまく話を落ち着かせてくれると、最初は驚いていたお母さんもほっと笑顔。終始ドキドキする展開ですが、最後は失敗をした子どもをあたたかく見守る家族の姿に、安心してお話を読み終えることができるのです。
<ミーテ会員さんのお声>
上の子はチョコレートが大好き。「もっと食べたい!」とよく駄々をこねるので、この物語は今の息子にぴったり! よくジェニーの気持ちがわかるんじゃないかな。ジェニーがチョコを食べてしまうと、「あら…」とおばちゃんのような嘆息をもらす息子。最近数字に興味がある息子は、チョコの絵を1個1個数え上げては、減っていく数を確認しています。(5か月の女の子と3歳6か月の男の子のママ)
このお話は、ストーリーテリングとして語られてきた物語が元になっているそう。手のひらサイズのお話集「おはなしのろうそく(20)」でもテキストを読むことができますよ。
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