イチ押し絵本情報

母親の愛情を確認する子ウサギ(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.367)

2021年12月16日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 母親の愛情を確認する子ウサギ

今回ご紹介する絵本は、マーガレット・ワイズ・ブラウンさんの文、クレメント・ハードさんの絵によるロングセラー『ぼくにげちゃうよ』。原書の初版は1942年で、日本では岩田みみさんの翻訳で1976年に紹介されました。

家を出てどこかへ行ってみたくなった子ウサギは、母さんウサギに「ぼく、逃げちゃうよ」と言います。「おまえが逃げたら、母さんは追いかけますよ。だって、おまえはとってもかわいい私のぼうやだもの」と母さんウサギ。それに対して子ウサギが「母さんが追いかけてきたら、ぼくは小川の魚になって、泳いでいっちゃうよ」と言うと、母さんウサギは…。

見開き

子ウサギと母さんウサギの対話と想像だけで進むお話です。子ウサギは、お母さんから離れて自立したい気持ちと、まだお母さんに甘えていたいという気持ちの間で揺れています。母さんウサギは、子ウサギのそんな葛藤をお見通しの様子。

「魚になって泳いでいっちゃうよ」と言われれば、「母さんは漁師になって、おまえを釣りあげますよ」、「母さんよりもずっと背の高い山の上の岩になるよ」と言われれば、「母さんは登山家になって、おまえのところまで登っていきますよ」といった風に返します。

次々と変身して逃げまわる子ウサギと、すぐさま姿を変えて子ウサギを追う母さんウサギ。そのやりとりは、まるで空想上の追いかけっこです。最後は子ウサギが人間の子どもになって、家の中に逃げるのですが、母さんウサギはすかさず人間のお母さんになって、その子を捕まえて抱きしめます。「ふうん、だったら、うちにいて、母さんの子どもでいるのと おんなじだね」と子ウサギ。母さんウサギの揺るぎない愛情を確認して、逃げるのをやめるのでした。

母と子の会話のモノクロページと文字のないカラーページが交互に続く、読者を飽きさせない構成。母親の愛情を確かめる子ウサギと、たっぷりの愛情で応じる母さんウサギの、心あたたまるお話です。

<ミーテ会員さんのお声>
以前、娘が2歳の頃に読んだことがあったが、その時は反応が薄かった。でも好きになってほしい絵本だったので、改めて読んでみたところ、反応上々。モノクロからカラーになるページを開くと「わぁ~っ」って声を上げていた。読んだ後に「私もやってみたい」と絵本を再現して大喜び。娘が逃げちゃうよと言っても、私が見つけて、最後に「抱きしめますよ」と言うと、とってもうれしそうだった。(3歳6か月の女の子のママ)

『おやすみなさい おつきさま』『ぼくのせかいをひとまわり』も、同じマーガレット・ワイズ・ブラウンさんとクレメント・ハードさんによる作品。どれも子ウサギが主役で、よく見るとリンクする描写がいくつかあるので、あわせて読むとよりいっそう楽しめますよ♪


ページトップへ

無料会員登録後は、過去の「絵本子育て相談室」など、
様々な絵本情報が読み放題!
ぜひミーテにご登録ください♪