イチ押し絵本情報

楽しいおでかけも交通ルールも たろう達と一緒に体験(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.360)

2021年10月28日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 楽しいおでかけも交通ルールも たろう達と一緒に体験

今回ご紹介する絵本は、村山桂子さんと堀内誠一さんによる『たろうのおでかけ』。1963年に月刊「こどものとも」の一冊として刊行され、1966年に出版された人気シリーズの一冊です。

たろうはお友だちのまみちゃんの家に遊びに行きます。お誕生日のプレゼントやアイスクリーム、すみれをもって、犬や猫達と大急ぎ。早く行きたくて横断歩道を渡らずに行こうとすると…。

見開き

仲良しの子の誕生日。アイスクリームと花のプレゼントを持って、動物達と一緒にお祝いに行く。この状況で気持ちが盛り上がらない子がいるでしょうか? もちろんたろうも犬のちろー達も、「うれしくって たまらない!」とウキウキです。同時にプレゼントのアイスが溶けないか心配で、気も急いています。

一方読み聞かせをする大人達は、「浮き立つ子ども」が「急いで」「子どもだけでおでかけ」と聞いたらいや~な予感がするはず。たろうのお母さんも、登場する町の大人達も同じです。たろうとちろー達が、はねながら歩いたり、道を走ったり、信号が黄色の時に渡ろうとしたり、道を横切ろうとしたりするたびに、「だめ だめ だめ」と注意します。

子ども達は、つまらないけれど「けがをするのはいやなので」、言う通りにします。その結果、無事友だちの家の前にたどり着き、広々とした原っぱをがまんした分だけ思いっきり走って、浮き立つ気持ちを大爆発させるのです。

この絵本のメッセージは明確で、「交通ルールを守って安全に」でしょう。お説教くさくなりがちのテーマですが、子ども達はこの絵本が大好き。おそらく子ども達の目には、危険がいっぱいの町を自力で抜けて、友だちにアイスを届けて原っぱで走るお話、と映っているのからではないでしょうか。交通ルールを守ることによって、すごいこと(子どもだけのおでかけ)ができるようになるという、魅力的な動機付けがあることで、子ども達は「交通ルールの絵本」と身構えることなく、受け入れるのでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
最近上の子がひとりでうろうろしたがるので、「とっとこ」いったら危ないよって伝えたいと思って買いました。今晩さっそく読み聞かせたけれど、いろいろな車の絵を見て大喜びするだけ(苦笑) でもすごく気に入ったみたいだから、何度も読むうちにきっと伝わるはず。(2か月と2歳2か月の男の子のママ)

たろうとちろー達が登場するシリーズは、1960年に月刊「こどものとも」で刊行された『たろうのばけつ』(品切れ重版未定)が最初。シリーズは他に『たろうのともだち』『たろうのひっこし』 があります。いずれも堀内誠一さんによる解放感のあるポップな絵が、たろうと動物達の小さな経験を明るく彩っています。あわせて読んでみてくださいね。


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