イチ押し絵本情報

クリスマスのワクワク感詰まった不思議な箱(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.314)

2020年12月3日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 クリスマスのワクワク感詰まった不思議な箱

今回ご紹介する絵本は、長谷川摂子さんと斉藤俊行さんによる『クリスマスの ふしぎな はこ』。2001年に月刊誌「こどものとも年少版」の一冊として刊行され、2008年にハードカバー化された、クリスマスが待ち遠しくなる一冊です。

クリスマスの前日の朝、不思議な箱を見つけた「ぼく」。箱を開けると、サンタさんの姿が見えました。箱の中を見るたびに、サンタさんはぼくの家に近づいてきます…。

見開き

表紙に描かれているのは、あたたかみと丁寧さが感じられる素朴な木彫りの箱。子どもが開けてみたくなる魅力があって、同時に勝手に開けても怒られなそうな、ちょうどいい塩梅の箱。子どもの低い目線でないと目につかない、縁の下にそっと置かれている…。この箱は、子どものことをよく知っている人が、子どもだけに贈ったプレゼントなのです。

その箱には、びっくりするような秘密が隠されていました。そっと開けると、なんと寝ているサンタクロースが見えます。この箱は、サンタの様子をのぞき見ることができる不思議な箱だったのです。それを男の子は、ママに内緒でベッドの下に隠します。この「内緒で」というところがミソ。クリスマスのドキドキと、内緒のドキドキ。相乗効果で子ども達はお話にのめり込んでいくのです。

「サンタさんは本当にぼくのうちに来るかな?」。多くの子どもが心にひそかに抱いている疑問でしょう。男の子の気持ちが手に取るようにわかるから、お話を聞きながら、子ども達は自分のことのように、ソワソワ、ドキドキ、ワクワクするのです。

クリスマスのドキドキ感がお話のエンジンならば、かじ取りは両親の対応です。「サンタさん、もう出発したかなぁ」「もうすぐぼくんちに来るかなぁ」。次々と繰り出される子どもの質問に対して、ママもパパも、忙しい中今やっていることを一旦止めてきちんと答えます。そして両親の答えに、男の子が想像力をかきたてられて箱をのぞくと、呼応するようにサンタの様子が移り変わっていくのです。

さて、そもそもこの箱、一体誰が置いていったものなのでしょう? 裏表紙に答えの鍵があります。サンタのそりをよく見ると、不思議な箱らしきものが乗っています。箱が役割を終えたので、回収されたのでしょう。箱は、クリスマスプレゼントとは別の、サンタからの贈り物。それはきっと、クリスマスやサンタを待ち遠しく思う、ワクワクした気持ち。それこそが、クリスマスが子ども達にくれる最大の贈り物なのではないでしょうか?

<ミーテ会員さんのお声>
クリスマスが近づいているので、どうしても読みたくて図書館でリクエストしました。「本当にサンタさんはいるのか」5歳になる息子はそろそろ疑問に感じる頃なので、サンタさんはちゃんといて、ふたりが寝るのを待ってプレゼントを置いて行ってくれるんだよ、と伝えられてよかったです。ちなみに息子の感想は…「そんな不思議な箱見つけたら、ぼくだったら絶対ママに言っちゃうけどな~」でした(笑) 息子にとっては、サンタさんが本当にいるかよりは、不思議な箱をどうしてママに隠していたのかの方が気になって仕方なかったみたいです(笑) (2歳8か月と5歳2か月の男の子のママ)

お話の最後で、男の子はプレゼントを開けて大喜び。お話には出てきませんが、ちゃんとこの子が一番欲しいものが届いているのです。一番欲しいものが何かは、絵の中にちゃんと答えが描き込まれています。気になる方は、何度か読み返してみてくださいね。

▼長谷川摂子さんのインタビューはこちら
「子どもとの絵本の時間は 人生のゴールデンタイム」


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