毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、五味太郎さんによる『らくがき絵本 五味太郎50%』。「らくがき絵本」シリーズの第1作です。1990年に出版され、今年刊行30周年を迎えたロングセラーです。
五味太郎さんからのお題に応えて、途中まで描かれた絵に、読者が描き加えて完成させる、ワークブックタイプの絵本です。
絵本の折り込みの「絵を描く楽しさへのお誘い」という文章によると、「絵を描く楽しさ」を「楽しみっぱなし」という五味太郎さん。散歩に誘うような気軽さで、読者をらくがきに誘ってきます。
まず最初の方に登場する「ひげを描きましょう、髪の毛を描きましょう」というお題があります。その下には、とぼけた顔立ちの男の人がふたりいて、「ひげ」ページの人にはひょろひょろの髪、「髪」ページの人にはちょびひげ。
かつて教科書に載った偉人の写真にいたずら描きしたことがある大人は、すぐにこのらくがき絵本のルールがわかることでしょう。お絵かきが苦手な子ども達も、向かい合わせのページにヒントがあるので、ぐっと気持ちのハードルが下がるはず。子どもか大人か、絵が上手い人か下手な人かにかかわらず、絵本を開いた人は誰でも、楽しめるようになっているのです。
絵を楽しむために、多様なアプローチのお題があるのがこの絵本の最大の魅力です。
時計の針を書く、迷路などのオーソドックスなお題、箱やお面に絵を描いて切り取らせる「らくがき」らしからぬお題、「宇宙人を描きましょう」などの自由度の高いお題もあります。2ミリくらいの丸がページにびっしり描かれたページに「632個だけ塗りましょう」という、五味さんのいたずら心が垣間見えるものもあり、実に多種多様です。
線をぐるぐる書くのも、クレヨンで絵を塗るのも、まねっこも、すべて「絵を描く楽しみ」という同じ枠でくくられている自由さがこの絵本にはあります。絵を描くということの既成概念が覆るようです。ただ、五味太郎さんは「知らぬ間に絵が上手になっちゃったり」しても、「ぼくはいっさい責任を持ちません。なにしろ誘ったのはぼくですが、あなたの散歩ですからね」と言います。一見突き放すようで、そういう嘘のなさが、子ども達が五味太郎さんの絵本を好きな理由ではないでしょうか。
膨大なお題は、大判なA4サイズ、368ページだからこそ可能だったことでもあります。また紙はざらっとした再生紙。気楽に絵を描くための仕組みが、細部にまで行き渡っているのです。
<ミーテ会員さんのお声>
次男は絵が苦手。絵日記を描いているものの…あまり進歩ナシ。もう少し興味をもたせてあげたいなと思って、「らくがき絵本」を購入しました。下の子もやりたがるでしょうから『いつでもらくがき はる・なつ・あき・ふゆ』も一緒に。さすが、五味太郎先生。「よし、描いてやろう!!」とやる気や想像力がかき立てられる工夫がされてあり、ページをめくるのが息子はもちろん私も楽しみです。これ一冊仕上げた頃には、次男の絵に対する気持ちが多少なりとも変わるのではないかと期待しています。(3歳2か月の女の子、5歳6か月と7歳5か月の男の子のママ)
30周年を記念して開催されていた、五味太郎さんと30人の絵本作家によるらくがきコラボレーション展。作品の一部を、ブロンズ新社の公式ブログで見ることができます。力作ぞろいですよ。
▼ブロンズ新社の公式ブログ
らくがき絵本30周年企画 らくがきコラボ
▼五味太郎さんのインタビューはこちら
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