毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、アメリカの作家エリサ・クレヴェンさんの『おひさまパン』です。原書のアメリカでの初版は2001年。日本では2003年に江國香織さんの翻訳で刊行されました。
舞台は、雪交じりの風がびゅうびゅうと吹く、いかにも寒そうな町。「世界中の色という色を奪ってしまったかのようです」という文章にもあるように、町は全体的に灰色がかっていて、陰鬱な雰囲気が漂います。外に出るのもままならず、子ども達は家の中でうんざり。
そんな中、パン屋さんはひとり、大きなおひさまが描かれた絵本を眺めています。そして、おひさまが恋しくなったパン屋さんは、小さなおひさまをつくるつもりで生地をこね始めます。
ふっくらと焼き上がったおひさまパンのおいしそうなこと! そしてパンの匂いに誘われて、パン屋さんにみんながやってきます。光り輝くおひさまパンが登場するページは、序盤の暗い町の様子とは打って変わって明るい色調です。おひさまパンを食べるみんなの表情も幸せいっぱい。それにつられたかのように、雲の隙間から本物のおひさまも登場して…。
後半は、ページをめくるたびにページ全体が鮮やかに色づいて、まるで祝宴がくり広げられているかのよう。ちなみに、パン屋さんの名前「FIESTA BAKERY」の「FIESTA」は、スペイン語で祝祭やパーティーを表します。原題は「SUN BREAD」。「おひさまパン」は直訳ですが、喜びやあたたかさも感じられる、とてもすてきなタイトルですね。
作者のエリサ・クレヴェンさんは、大学卒業後、教師として子ども達に読み聞かせをするうちに絵本に興味をもち、独学で絵本制作を始めたのだとか。様々な素材を用いたコラージュによる美しい絵が魅力的な一冊です。
<ミーテ会員さんのお声>
太陽の光、暖かさは、日常なくてはならないものですが、そのすばらしさがパンづくりを通して描かれた、文字通り“暖かくて、温かい”作品です。(6歳4か月の女の子のママ)
裏表紙には、おひさまパンのレシピも。食べたら幸せ気分になれそうなおひさまパン。親子でつくってみるのも楽しそうですよ。
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