イチ押し絵本情報

足元に広がる生き物の世界をクローズアップ(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.287)

2020年5月28日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 足元に広がる生き物の世界をクローズアップ

今回ご紹介するのは、松岡達英さんの『くさはら どん』。2002年に月刊「ちいさなかがくのとも」の一冊として刊行され、2010年にハードカバー化された絵本です。

草原に“どん”と足を踏み下ろすと、足元からバッタやチョウ、トンボなど、たくさんの生き物が慌てて飛び出してきます。林でも“どん”、あぜ道でも“どん”、河原でも“どん”。それぞれの場所に、どんな生き物が潜んでいるでしょうか。

見開き

扉には、女の子と男の子が虫捕り網を片手に草原へと踏み出す後ろ姿が描かれています。でもページをめくると、絵は思いきり足元をクローズアップ。一見何もいないように見えていた草原にも、様々な生き物がいることがわかります。

ショウリョウバッタやオンブバッタ、モンシロチョウ、オニヤンマといった、虫に詳しくない人でも知っているようなメジャーどころだけでなく、ハンミョウ、オオヒラタシデムシ、サトキマダラヒカゲ、アオハダトンボなども描かれていて、図鑑のようにも楽しめます。

何よりの魅力は、自然観察描写の第一人者である松岡達英さんならではの、正確かつ美しい描写。ひっそりと息をひそめている時の姿と、“どん”で飛び出してきた時の躍動感のある姿を見比べてみるのも面白いでしょう。

文章で多くを語らず、「くさはら どん」「はやしで どん」「あぜみち どん」と2拍子でリズミカルに進んでいく展開が小気味よく、小さい子から楽しめます。最後のページには、しゃがみこんで虫を探している女の子と男の子の姿。手に持ったビニール袋には、草原で捕った虫が入っているようです。ふたりの表情は一度も描かれていないのに、ワクワクしている様子や喜んでいる姿が伝わってきます。読み終わったらぜひ外に出かけて、リアルに「くさはら どん」を体験してみてください。

<ミーテ会員さんのお声>
虫好きの息子も、そうでもない娘も、そろって好きな絵本です。図鑑のように細やかに描かれているのに、お話のようになっているところがいいのだと思います。“どん”のところは子ども達も一緒に声をそろえて「どん!」と元気に読んでいます。知らない虫の名前もあって、私も勉強になりました。(3歳8か月の男の子と2歳3か月の女の子のママ)

赤ちゃんから楽しめる『ぴょーん』をはじめ、多くの自然科学絵本を生み出してこられた松岡達英さん。『よるになると』には、草原や池、雑木林などを舞台に、生き物達の昼と夜の世界が丁寧に描かれています。絵本をきっかけに、本物の自然へと興味を広げていきたいものですね。

▼松岡達英さんのインタビューはこちら
「絵本をきっかけに地球をもっと知ってほしい」
赤ちゃん絵本を楽しもう! 『ぴょーん』に込めた思い


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