毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、とだこうしろうさんと、とだひろしさん親子による『あいうえおえほん』。1982年に出版されたロングセラーです。
「あ」から「ん」までのひらがなを、大きな文字、書き順、それぞれの文字を使ったことばと絵で紹介するシンプルで美しい知育絵本です。
まずはページを開いて右にある、文字のページを見てみましょう。白い背景にくっきりとした大きなひらがなが1文字。その下には書き順が書かれています。文字を知り、書くために必要な最小限が記されているという印象です。
しかしこの「最小限」は、手間と時間がかかっています。毛筆調の大きな文字はオリジナルの書体。横書きすることを想定して生み出された文字だそうです。下に書かれた書き順の文字も、同じくオリジナル。こちらは硬筆を想定した書体です。子ども達が鉛筆で書く際に必要な「トメ・ハネ」をはっきり示したもので、一文字ずつ当時の文部省に確認してデザインしたものだそうです。
次に左ページに描かれたことばと絵に目を移してみましょう。パッと目に飛び込むくっきりとした線とビビッドな色。記号化の直前までデフォルメされながら、具体性を失わず、子ども達にも明快な絵。初めてひらがなを学ぶ子ども達に、文字と絵が同時に飛び込み、文字とことばのつながりを伝えています。デザインの力が、子ども達が文字を理解する手助けをしていると言えるでしょう。
戸田デザイン研究室ホームページ内のインタビューで、代表の戸田靖さんが、この絵本の前に『五十音図表』があることを明かしています。父親であるとだこうしろうさんが、まだ幼かった息子達のために手書きでつくった物なのだそう。
「ひらがなの美しさを伝える絵本を作りたい」という、こうしろうさんのこの絵本にかける思いと、子ども達への愛情から生まれたあたたかみ。いずれも持ち合わせた絵本であることが、長年多くの親子に愛され続けているだけではなく、出版から37年を経た2019年にグッドデザイン賞に選ばれた理由かもしれません。
<ミーテ会員さんのお声>
字がきれいで、絵の色がきれいで、私が気に入って買いました。娘に大きい字を指でなぞらせて「字が書けるなんてお姉ちゃんだねぇ」とほめたら、ほっぺを真っ赤にして喜んでた。しばらく後に自分だけでもやっていた♪(2歳9か月の女の子のママ)
表紙に絵がなく、シンプルにタイトルの文字だけを配したつくりなのは「インテリアとしてリビングに置かれてもステキな」絵本を目指したからなのだそう。ぜひ、家の中で一番時間を過ごす場所に置いて、親子で楽しんではいかがでしょうか。
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