イチ押し絵本情報

食べるとばけるおばけの子、ばけたくん!(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.248)

2019年8月22日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 食べるとばけるおばけの子、ばけたくん!

今回ご紹介する絵本は、岩田明子さんによる『ばけばけばけばけ ばけたくん』。2009年に出版され、今年で10周年を迎えた人気シリーズです。

おばけの子ばけたくんは食いしん坊。おいしそうな匂いにつられて、夜中の台所にふわふわ飛んできて、「いただきまーす!」とパクパクつまみ食いを始めます。イチゴにキノコ、納豆にメロンソーダ。いろいろ食べていると、あれあれ? ばけたくんが食べ物に変身してしまって…!?

見開き

ばけたくんは、食べると食べたものにばけるという、ユニークな能力をもっています。ばけたくんは、ばけるといつもびっくりしていますから、どんな風にばけるのかは、本人もわからないよう。もちろんお話を聞いている子ども達にもわかりません。

ペロペロキャンディー、イチゴ辺りはいいのです。でもスパゲッティーは変身後の姿が想像もつきませんし、メロンソーダや納豆に至っては、想像はつかないけれどきっと困ったことになるという予感で、子ども達はドキドキソワソワ。ページをめくると、想像を上回る変身をしていて、大笑いするのです。

「ばけたくんはおばけの子。食いしん坊なおばけの子」と声に出すとはっきりとわかりますが、ことばがとてもリズミカル。展開も食べて、変身して、また食べて…のくり返しで、テンポがいいのです。岩田さんがインタビューの中で語っているように、絵本をつくる過程で「削れるものはなるべく削っていった」からなのでしょう。

一方絵は、ばけたくん自身はキャンバスのように広々とした白ですが、変身後の姿は、シンプルとは対極です。スパゲッティーの1本1本、ソーダの弾ける泡ひとつひとつが、丁寧に描き込まれています。 また、ひとつ前に変身した姿が体の端の方に残っているのも、さらにばけたくんの姿をユニークなものにしています。岩田さんは、描きたいのは「体が変化していく、そのムズムズするような感覚」と語っています。実際、シュワシュワしたりねばねばしたりする食べ物の描写が巧みで、まるで自分が体感しているように感じます。この感覚こそが、子ども達に人気の秘密なのではないでしょうか。

現在7作目まで出ている人気シリーズになったのは、ばけたくんの憎めないキャラクターによるところが大きいでしょう。モデルは、岩田さん曰く「ちっちゃい時からよく食べる子で!」という息子さんだそう。ばけたくんが左利きなのも、息子さんが由来だそうですよ。

<ミーテ会員さんのお声>
図書館で借りてすっかり気に入ったので購入した『ばけばけばけばけ ばけたくん』。まだまだ流行中で、図書館で借りた他の本を一通り読み終えてしまうと、息子は「ばけたくん読んで」と必ずこの本を持ってきます。食べたものに変身してしまうばけたくん。子ども達のお気に入りはメロンソーダを飲んだシーン。何度読んでいても、このページになると「待ってました!!」という感じで聞いています。お話も面白いけれど、絵がカラフルできれいで、どの食べ物もおいしそうです(^_^)(3歳3か月の男の子と5歳10か月の女の子のママ)

2019年6月には、10周年を記念して新作『ばけばけばけばけ ばけたくん おるすばんの巻』が登場。『たんじょうびの巻』で赤ちゃんだった妹と一緒にお留守番。登場から10年で立派なお兄ちゃんになりました。ところで、『たんじょうびの巻』の最後の一文にありますが、「ばけたくん いくつに なったの?」。知りたいような、知りたくないような…。

▼岩田明子さんのインタビューはこちら
「子どもたちに何を伝えたいか 他を削ぎ落とし際立たせる」


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