イチ押し絵本情報

憧れの仕事の現場を絵本で覗き見(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.241)

2019年7月4日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 憧れの仕事の現場を絵本で覗き見

今回ご紹介する絵本は、2009年に出版された『しごとば』。鈴木のりたけさんの絵本作家としてのデビュー作です。

美容師、新幹線運転士、すし職人、パティシエ、グラフィックデザイナーなど、子ども達に人気の職業9つの仕事場を、使う道具や仕事の流れなどと合わせて丁寧に紹介。徹底した取材をもとに隅々まで緻密に描かれた絵は情報量が多く、細部にはちょっとしただじゃれも。大人も一緒にわくわくできます。

見開き

世の中にはたくさんの仕事があります。どんなことをやっているのか、何となく知っている仕事も結構あるかと思いますが、実際にそれぞれの仕事場に足を踏み入れてみると、その道のプロでしかわからないことが山ほどあります。『しごとば』は、そんな未知の世界を覗き見するような絵本です。

『しごとば』というタイトルなだけあって、各職業の最初の見開きには働いている人は登場せず、仕事の現場の様子だけがページいっぱいに描かれています。

絵の中には仕事に使う道具も細やかに描き込まれていて、それぞれの名前も載っています。たとえば美容師だと、鏡、時計、タオルといった子どもも知っているものから、ウィッグ、ヘアワックス、シザーケースといった、大人なら知っているようなもの、さらにはセニング、スティックピンといった耳馴染みのないものも描かれています。

次の見開きには、仕事内容の説明と道具の解説、そして仕事の流れの図解。なるほど、セニングとは髪の毛をすく時に使う道具なのか、スティックピンはパーマをかける時にこんな風に使うのね、ということがわかるようになっています。

作者の鈴木のりたけさんによると、一回の取材で200~300枚の写真を撮るのだそう。道具や仕事の手順などを一通り聞いたら、仕事で一番やりがいを感じるのは何か、過去の大失敗、休みの日の過ごし方といった、パーソナルな質問もするとのこと。仕事場の様子や仕事の手順だけではなく、その仕事に就いている人の人となりや仕事にかける思いもしっかり描いていきたい…そんなことを意識しながらつくられたそうです。

インタビューの中で制作エピソードを詳しく語っていらっしゃるので、ぜひ読んでみてください。

<ミーテ会員さんのお声>
遠目で見ると、写真みたい! 仕事場の様子や道具などが、細かいところまでこだわって描いてある。3年生は地域の職人さんにインタビューする学習があるから、とっても参考になった\(^o^)/

それと、ほとんどの職業のページのどこかに他のページに関連する絵や文字がこっそりと隠されていて、それを探すのがまた面白い! 遊び心で描かれているらしく、確か絵本そのものには紹介されてないかな。知る人ぞ知る楽しみ方なのかも\(^o^)/ それともみんなすぐ気づく?(8歳10か月の男の子のママ)

今年10周年を迎えた「しごとば」シリーズ。『続・しごとば』『続々・しごとば』『しごとば 東京スカイツリー』『もっと・しごとば』と続いてきましが、2020年2月には待望の新刊『やっぱり・しごとば』が刊行されるそうです。現在、取材真っ最中とのこと。楽しみですね!

▼鈴木のりたけさんのインタビューはこちら
「誰でも自由に楽しめる それが絵本の魅力」


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