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家族のために描かれた「ねむりひめ」の古典的名作(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.222)

2019年2月21日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 家族のために描かれた「ねむりひめ」の古典的名作

今回ご紹介する絵本は、スイス人画家フェリクス・ホフマンさんが絵を手がけたグリム童話の『ねむりひめ』。日本では1963年に、瀬田貞二さんの訳で初版発行されたロングセラーです。

長い間子どもに恵まれなかった王様とお妃様の元に、待望の女の子が生まれました。盛大なお祝いが催され、たくさんの人と共に占い女達が招待されました。占い女達には不思議な力があり、姫によい心や美しさ、お金持ちになる幸せなどを次々と授けました。しかし、ただひとりお祝いに呼ばれなかった占い女が現れて、「姫は15になったら、つむにさされて、倒れて死ぬぞ!」と呪いをかけたのです…。

見開き

数あるグリム童話の中でも著名なこのお話は、「ねむりひめ」の他、「いばらひめ」や「眠れる森の美女」として知られ、たくさんの作家によって絵本化されています。その中でも、瀬田貞二さんの流れるような名訳の力もあって、ホフマンさんの絵本は、グリム童話に忠実で美しい名作として知られています。

右に挙げた王子が姫にキスするシーンは、まるで舞台の1シーンを切り取ったかのよう。他のページも同様で、完成された構図、繊細な線、抑えた色味によって、長年語り継がれてきた物語の美しさを伝えて余りあります。

もともとホフマンさんの絵本は、美術の教師やステンドグラス制作などの仕事の傍ら、4人の子ども達や孫達のためにつくられたものでした。『ねむりひめ』は二女のためにつくられたもので、表紙やお祝いのシーン、姫の目覚めのシーンなどに登場する猫と最後のページのケーキは、二女が好きだったものだそう。

ちなみに同じグリム童話の『おおかみと七ひきのこやぎ』は三女のため、『ながいかみのラプンツェル』は長女、『七わのからす』は長男のためにつくられ、長い間家族の中でだけ読まれていました。 家族のために描かれた…と知ると、表紙の王様とお姫様は父・ホフマンさんと娘さんの姿に見えてくるから不思議です。王様の手はがっしりとしていて、王様というよりステンドグラスをつくる職人にふさわしそうです。

ホフマンさんの原画は、さとうわきこさんの主催する「小さな絵本美術館」で見ることができます。4月から八ヶ岳館で「『フェリックス・ホフマン-父から子への贈りもの-』(仮)展」を開催し、子ども達のために描いた手描きの絵本が見られるそうですよ。

<ミーテ会員さんのお声>
「ねんねするやつ読んで」と娘が今夜の絵本のリクエスト。『ねむりひめ』のことだ。「なんでねんねしちゃったん?」「なんで王子様はねんねしなかったん?」と、すべてに「なんで?」「なんで?」の質問攻め。長いお話も聞けるようになったこの頃。それでも1回で理解するのは難しい様子。ことばも聞きなれないものが多いしね。それでも、少しずつ少しずつ、自分なりに理解し、何か感じているのがわかる。絵本との付き合い方も、ちょっと変わってきたのかな?(4歳3か月の女の子のママ)

ホフマンさんが手掛けた最後の絵本は、ステンドグラス制作の仕事が生かされた『クリスマスのものがたり』。松居直さんの依頼によって、日本で最初に出版された絵本です。

▼小さな絵本美術館
https://www.ba-ba.net/


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