毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、ひろのたかこさんの『おさんぽ おさんぽ』。「こどものとも 0.1.2」の一冊として刊行され、2008年にハードカバー化した赤ちゃん絵本です。
おさんぽ、おさんぽ、だんごむしさんも、おさんぽ。子どもが履いた青い長靴が進むと、足元には、あり、かたつむり、かえる。身近な生き物達に出合いながら歩いていくと、そこには水たまり! 雨上がりのお散歩の楽しさをシンプルに描いた、赤ちゃん絵本のロングセラーです。
主役は、画面に大きく描かれた青い長靴です。小さな子どもが履いていますが、ヒザより上の姿は描かれていません。自然、目線は地面すれすれ。すると、子ども達にとって身近で、自分が散歩する時にも見かける小さな生き物達が視界に入ってきます。
最初に出合うのはだんごむし。次はあり、かたつむり、かえる…いずれも地面近くで生活する生き物達。読み進めながら、自然と長靴の子が見ているものを見ているような不思議な感覚になります。
子どもにとっては、それはいつも自分が見ている世界に近いものでしょう。自分が見るものを絵本の子も見ている…そんな感覚から、あっという間に絵本の世界へといざなわれていくのです。そして、それを読み手の大人と一緒に体験できることがうれしくて、文を覚えるほどくり返し読んでもらいたがるのでしょう。
クライマックスに登場するのは、雨上がりの主役、水たまり。偶然踏み入れて止めた足、そこから3ページにわたって、長靴が脱げるほど激しくバシャバシャと水をはねさせて遊びます。自分の動き以上に水が飛び散る楽しさ、ほんのりぬるい水の感触、長靴に入った水がたてる音の面白さ。読んでもらっている子ども達は、長靴の子と一緒に体験しているように感じることでしょう。
お話の構造はとてもシンプルです。しかし、大人も繰り返し読んで飽きがこないのは、子どもの様子を詳細に観察した丁寧な描写の絵によるところが大きいでしょう。長靴のつま先が向いた先のありに興味をもち、歩幅が大きくなることでかえるを追いかけようという思いを感じ、水たまりで遊ぶ足の激しい動きに子どもの喜びや表情までが伝わります。文はもちろん、絵にすら描かれていないことがくっきりと心に浮かび上がってくる。これこそがこの絵本が多くの親子をひきつけてきた理由でしょう。
<ミーテ会員さんのお声>
図書館で借りた『おさんぽ おさんぽ』。リズム感があって、読んでいて楽しい。ちょうどお下がりでもらったのが青ベースの長靴だったので、娘も好きみたい。まだ長靴でお散歩に行ったことがないけど、今度連れて行ってあげようかな?(1歳4か月の女の子のママ)
読み終わった子どもの多くが、その足でお散歩に行きたがるとか。読む際には、汚れてもいい服に長靴が必要かもしれませんね!
無料会員登録後は、過去の「絵本子育て相談室」など、
様々な絵本情報が読み放題!
ぜひミーテにご登録ください♪