毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、田島征彦さんの『じごくのそうべえ』。初版は1978年。第1回絵本にっぽん賞受賞のロングセラーです。
綱渡りの最中にバランスを崩し、命を落としてしまった軽業師のそうべえは、冥土へ行く途中で出会った歯抜き師、医者、山伏と一緒に地獄へ送られてしまいます。そこで彼らは、糞尿地獄や熱湯の釜、針の山に投げ込まれますが…。
原案となっているのは、上方落語の「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」。2015年3月に亡くなられた人間国宝・桂米朝師匠の十八番として知られた演目です。通しで演じると1時間を超える大ネタですが、それを田島征彦さんが独自に翻案、創作して、子どもも楽しめる絵本に仕上げました。
地獄めぐりが題材なので、鬼や閻魔大王といった子どもにとって怖い存在も登場するのですが、実はとっても面白いお話なのでご安心を。表紙には、真っ赤な火がめらめらと燃え盛る中、鬼が人を捕まえようとしている様子が描かれていますが、タイトルの上を見ると、主人公のそうべえが笑顔で軽やかに火の上を駆け抜けているではありませんか。力強く躍動感のある絵ですが、人や鬼はユーモラスに描かれていて、何とも言えない味わいがあります。
上方落語がもとになっているので、文章はすべて関西弁。慣れないと少し読みにくいかもしれませんが、落語ならではのテンポのいい文章は、声に出して読むととても心地よく、読み手も自然とノッてきます。
子ども達が一番ウケるのは、糞尿地獄の後、そうべえ達が人呑鬼(じんどんき)に飲み込まれてからのシーン。おならとともにお尻の穴から脱出するという下ネタ満載の展開ですが、「それー、よいしょ。ぶう」は、恥ずかしがらずに勢いよく読みましょう。盛り上がること間違いなしです。
<ミーテ会員さんのお声>
『じごくのそうべえ』の読み聞かせに挑戦。言い回しがちょっと難しいけれど、噛みながらもどんどん読み進めていくと、地獄での様子が怖いどころか面白い! 上の娘もげらげら笑いながら聴いていました。上手に読めたら、かっこいいだろうな。(2歳0か月と6歳11か月の女の子のママ)
「じごくのそうべえ」は他にも『そうべえごくらくへゆく』、『そうべえまっくろけのけ』など全5冊が出版されており、累計120万部のロングセラー絵本シリーズとして愛されています。今年の5月には、7年ぶりとなる新刊『そうべえときじむなー』が刊行予定とのこと。作者の田島征彦さんがご自身のFacebookで制作中の作品を紹介されているので、興味のある方は覗いてみてください。どんな絵本になるのか、楽しみですね!
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