毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、コピーライターの中村牧江さん、グラフィックデザイナーの林健造さん、イラストレーターの福田隆義さんの絵本『ふしぎなナイフ』。1985年に月刊絵本「こどものとも年中向き」の1冊として刊行され、1997年に「こどものとも傑作集」としてハードカバー化された作品です。
テーブルの上にナイフが1本。何の変哲もないナイフに見えますが、じつはとても不思議なナイフなのです。ページをめくると、なんと! ナイフが曲がったり、ねじれたり、折れたり、割れたり、溶けたりと、様々に形を変えていきます。そして最後は、先端がぷくーっと膨らんでいって…。
ページをめくるたび、ナイフがありえない姿に変形していくだけの、シンプルな絵本です。文章も「ふしぎなナイフが まがる」「ねじれる」「おれる」など、非常に簡潔で無駄がありません。ナイフはほぼ原寸大のサイズで、とても写実的に描かれています。だからこそ、硬いはずのナイフが溶けてしまったり、食べ物を切るはずのナイフそのものが細かく切られたりしてしまうという、その変化の意外性が際立ちます。
絵と文のシンプルさは赤ちゃん絵本並みですが、ナイフがどういうものかをわからないうちに読んでも、この絵本の面白みは十分には味わえません。“ナイフは硬い”という常識が覆される楽しさこそが、この絵本の何よりの魅力。「ふにゃっ」「ぐねぐね」「ポキッ」など、ナイフの変化に合わせて擬音語・擬態語を添えてみたり、他にどんな形になるかと想像してみたりすれば、楽しさはさらに広がります。
<ミーテ会員さんのお声>
写実的に描かれたナイフが、曲がったり、ほどけたり、ふくらんだり…ストーリーのある絵本ではないけれど、「えー! そんなのできないよ!」などと歓声をあげながら楽しんでいます。「おれる」のところで「パキッ」、「とける」のところで「ぽとぽとぽと…」と息子が効果音をはさんでくれます。最後はナイフが膨らんで破裂するのですが、「パーン!」と言いながらページを強くめくりすぎて、ビリビリビリッ! あぁ、絵本が破れてしまった…(涙)(3歳8か月の男の子のママ)
3、4歳くらいになると、物語のある絵本を読む機会が増えてくるかと思いますが、時にはこんな絵本も、感性が刺激されて楽しいですよ。
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