毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、松谷みよ子さんの文、東光寺啓さんの絵による『おさじさん』。『いないいないばあ』や『いいおかお』、『おふろでちゃぷちゃぷ』と同じ、「松谷みよ子 あかちゃんの本」シリーズの一冊で、初版は1969年。発行部数108万のロングセラーです。
「こんにちは。おいしいものはありませんか」
お山や野原を越えて、愛らしい笑顔の“おさじさん”がやってきました。匂いをたどってたどり着いたのは、卵入りのおかゆを食べようとしている、うさぎのぼうやのところ。ぼうやは、おさじさんのお手伝いを断って、おかゆをひとりで食べようとしますが、あまりの熱さにやけどをして、えーんえーんと泣いてしまいます。そこでおさじさんは…。
まず注目したいのは、“おさじさん”というネーミング。今はおじいちゃん、おばあちゃん世代ですら、スプーンを“おさじ”と呼ぶことはあまりないかもしれませんが、その“おさじ”をさん付けで呼ぶあたりに、なんとも言えない懐かしさとやさしさを感じます。
そして、松谷みよ子さんならではの、あたたかく美しいことばの響き。
「ないては だめよ」
「さあ おてつだい いたしましょう」
「おくちが おいしい ほっぺが おいしい」
やさしさあふれる文章に、読み聞かせする人の声も自然とやさしく、愛情のこもったものになっていくはずです。
半世紀近く前につくられた絵本とあって、絵にはレトロな雰囲気が漂いますが、おさじさんのにっこり笑顔はとても愛らしく、松谷さんの文章にもぴったりマッチ。おさじさんが“きしゃぽっぽ”になって、お口のトンネルにポッポーと入っていく、というくだりも絶妙にかわいらしく、離乳食を始めたばかりの赤ちゃんを楽しげに応援してくれます。
<ミーテ会員さんのお声>
月曜から離乳食を始めた下の子。おもゆだけど気にいったようでぱくぱく。ずりばいもおすわりも上手になった。そんな妹と遊びたくなったのか、上の子も妹に話しかけることが多くなった。
昨日、久しぶりに上の子が「これ読んで」と持ってきたのは『おさじさん』。上の子がねんねのときから、離乳食がうまくいくようにと願って私が好んで読んでいた絵本。記憶の奥底にまだ残っているのかな。下の子にはほとんど読んだことがないけれど、ずりばいしていたのをやめて一緒に聞き入っていました。すてきなお話は、ちゃんと子どもの方からわかってくれるんだな~。 (0歳6か月と2歳9か月の女の子のママ)
「松谷みよ子 あかちゃんの本」シリーズ(全9冊)は現在、累計1700万部を超えているとのこと。松谷みよ子さんの絵本がいかに多くの赤ちゃんに愛されてきたかがよくわかります。声に出して読むと、読んでいるママやパパもおさじさんの愛らしさに癒やされますよ。
▼松谷みよ子さんのインタビューはこちら
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