イチ押し絵本情報

林明子さんの新作、待望のハードカバー化(新刊絵本のご紹介 Vol.128)

2017年4月24日

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 林明子さんの新作、待望のハードカバー化

征矢清さん、林明子さんご夫妻による絵本『ひよこさん』が出版されました(本体800円+税、福音館書店)。2013年に「こどものとも0.1.2.」として刊行された作品のハードカバー化です。

見開き

ひとりでお散歩に出かけたひよこさん。あっという間に暗くなって、空には星まで出てきました。「くらくて もう あるけないよ」。ひよこさんは葉っぱのおふとんをかぶって、ぐうぐうぐう。そこへ、誰かがやってきて…。

暮れていく空のグラデーションや、ひよこさんの愛らしさ、心あたたまる親子の愛情を、美しく繊細な絵で描いた赤ちゃん絵本。文章を書かれた征矢さんは福音館書店の元編集者で、「こどものとも0.1.2.」の創刊メンバーのおひとりでした。闘病中にこの絵本の文章を書かれたそうですが、残念ながら2008年冬にお亡くなりになりました。

<作者(絵)・林明子さんのコメント>
『ひよこさん』は、征矢清が亡くなる前に書き残してくれたお話です。これにはとても愉快な丸いひよこと丸い母鶏の絵が添えられていました。彼のユーモラスなラフスケッチが方角を示してくれたお陰で、ようやく絵本を完成させることができました。

ひよこさんを描きながら、彼に「いいね」といってもらえるのか心配で、そばにいてくれたら心強いのに、と恨めしく思っていました。でも、もしかしたら、手伝ってくれていたのかもしれません。

ある日、近所に移動動物園がやってきました。大きなトラやライオンに圧倒されながらふと見ると、その檻の前にかわいいひよこがたくさん遊び回っていたのでびっくりしました。その頃私は、生きたひよこを見るにはどこに行けばいいのだろうと思い悩んでいたからです。あのひよこたちは天国の彼からのプレゼントだと今でも信じています。

(福音館書店 月刊「こどものとも0.1.2」2013年3月号 折込ふろく『絵本のたのしみ』より一部抜粋の上、転載)

裏表紙には、あたたかなおうちの中で、お母さんの背中に乗っかって甘えているひよこさんの姿が描かれています。征矢さん、林さんご夫妻の最後の合作、親子で読んで、幸せ気分を味わってくださいね。


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