イチ押し絵本情報

たまごだけれどおにいちゃん! 絶妙な子ども心(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.126)

2017年4月6日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 たまごだけれどおにいちゃん! 絶妙な子ども心

今回ご紹介する絵本は、あきやまただしさんの『たまごにいちゃん』。人気シリーズ「たまごにいちゃん」の第1作です。

たまごにいちゃんは、本当はもうたまごから出てもいいはず。なのに、たまごのからをつけたまま。だってお母さんにあたためてもらえるんだもん。ところがある日、たまごにひびが入ってしまい…。

見開き

たまご、だけれどお兄ちゃん。お兄ちゃん、だけれどたまご。1日も早く成長したいと同時に、赤ちゃんのように甘えてもいたい…そんな子どもの相反する気持ちがそのまま形になったような、たまごにいちゃん。読み聞かせてもらう子ども達は、「ぼくと同じ気持ちの子がいる」と安心し、そして一緒にちょっとずつ成長したいと、「もう1回」と繰り返すのでしょう。

たまごにいちゃんは、自分のペースで成長します。たまごを割る時も(『こんにちは たまごにいちゃん』)、たまごから出てくる時も、しっぽからたまごの殻が取れる時も(『がんばる! たまごにいちゃん』)。

お母さんはそれをあたたかく見守ります。お父さんや兄弟、友だち、周りの動物達も、たまごにいちゃんをあるがままに受け入れています。そんなあたたかな環境に守られて、その時その時を一生懸命がんばると、その先にその子なりの成長が待っている。「這えば立て…」とつい先走って子どもの成長を期待しがちな大人こそ、わが身を振り返りハッとするのではないでしょうか。

たまごにいちゃんのモデルは、あきやまさんの息子さんだそうです。親に「重い、重い」と言われるようになっても、抱っこしてほしがっていたのが、ある時、自分の意志で抱っこから卒業したんだそう! 「子どもは親に言われなくても、体と心の成長に合わせて、自然体で殻を破っていくことができるんだ」。そんな思いからたまごにいちゃんは生まれたと、あきやまさんはインタビューで語っています。

<ミーテ会員さんのお声>
「たまごにいちゃん」シリーズがとっても気に入った様子の息子。でも、読む時のこだわりがある。『がんばる!たまごにいちゃん』を先に読むこと。『たまごにいちゃん』は卵が割れる前のところでお話を止めること。

たまごにいちゃんの卵の殻が割れそうになると「だめ~! ここまでにして!」と本を閉じたがる。「あれ~? ◯◯君もたまごのままが良かったのかな~?」とからかうと、「ちがうもん」っと布団にもぐる。

誰よりも成長したいと思っているのは本人で、誰よりも今を大事にしているのも本人。だからこそ、成長すると今がなくなってしまうような足元の頼りなさを感じているのかも。絵本の中のお母さんと同じように私もゆっくり見守りたい。 (4歳0か月の男の子のママ)

最新作の『たまごにいちゃんとたまごねえちゃん』では、なんと、たまごねえちゃんとの間に子どもが!! いつも心配させながらも、最後には立派な成長を見せるたまごにいちゃん達。シリーズで読むともっと楽しいですよ。

▼あきやまただしさんのインタビューはこちら
「何度も読みたくなる! 声に出して楽しい絵本」


ページトップへ

無料会員登録後は、過去の「絵本子育て相談室」など、
様々な絵本情報が読み放題!
ぜひミーテにご登録ください♪