毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、ルドウィッヒ・ベーメルマンスさんの『げんきなマドレーヌ』。世界で愛され続けて約80年の「マドレーヌ」シリーズ、第1作です。
パリの寄宿舎にクラベル先生と、12人の女の子が暮らしています。一番小さなマドレーヌは、好奇心いっぱいで元気な女の子。ある日、マドレーヌが盲腸で入院してしまい…。
パリの、ツタのからまる古い屋敷で、寄宿生活を送るマドレーヌ。揃いの制服で2列に並んだ少女達が散歩に行けば、そこにはエッフェル塔にオペラ座がたたずんでいます。
パリの街を舞台に、マドレーヌは縦横無尽に駆け回ります。動物もへっちゃらで、スケートも得意な元気なマドレーヌの周りは、いつも騒動が起こります。何事にも驚かないクラベル先生も、マドレーヌの起こす事件には、とるものもとりあえず「走りに走って」かけつけます。洗練された街の様子に、大人っぽいラフなデッサン風の絵、自由奔放なマドレーヌ。どれだけの女の子が、絵本の中に広がる別世界とマドレーヌに憧れたことでしょう。
作家で、最近のマドレーヌシリーズの翻訳を手掛けている江國香織さんもそのひとり。『絵本を抱えて 部屋のすみへ』(新潮社)の中で、「ずっとパリに憧れていた。(中略)はじまりはマドレーヌちゃんだった」と告白しています。
福音館書店から出ている4冊の翻訳者は、名訳者として知られる瀬田貞二さん。簡潔でリズミカル、繰り返されることば。電話の「ジー、トン」というクラシカルな音、そして、「もうちょうえん」や「いちだいじ」など、普段は聞きなれないことば。もともとベーメルマンスの文章は韻を踏んだ簡潔なものだそうですが、その味わいを存分に味わえる翻訳だと言えるでしょう。
主人公の「マドレーヌ」という名前は、奥さんの名前にちなんでいるそうです。孫のジョン・ベーメルマンス・マルシアーノさんの『ベーメルマンス マドレーヌの作者の絵と生涯』(BL出版)では、「登場人物は母親と妻と娘を合わせたものだ」と本人が述べていたことを伝えると共に、「自分自身の一部でもあるのはまちがいない-クラスでいちばん小さくて、いつも面倒を起こす子だったのだから」と明かしています。
<ミーテ会員さんのお声>
先日、家にマドレーヌの絵本があることに気が付いた娘。その日以来毎日マドレーヌ読んでます。特に『げんきなマドレーヌ』がお気に入りのようで、「みんなおなかがいたいやつよんで!」と言っています。でも言葉がちょっと難しいようで、「なんでなんで」の連発です(笑)(2か月と4歳の女の子のママ)
孫のジョン・ベーメルマンス・マルシアーノさんは、ベーメルマンスの書籍化されなかった遺稿に絵を加えた『アメリカのマドレーヌ』のほか、『マドレーヌとどうぶつたち』などを出版しています。
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