毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、浜田広介さんが文、梶山俊夫さんが絵を手掛けた『泣いた赤おに』。もともと1935年に『ひろすけひらかな童話』の中のひとつとして発表された作品を全文掲載し、梶山さんが絵をつけた作品です。
山の家に、ひとりの若い赤おにが住んでいました。やさしく素直な性格で、人間と仲良くくらしたいと思っていました。その願いを知った友だちの青おには、自分が村で暴れるからやっつけるようにと言い出します…。
自分が犠牲になって友だちの願いをかなる申し出をする時、青おには「ものがなしげな目つき」をしています。この先のことも考えた上で、みずから悪者になることを選んでいることがひしひしと伝わってきます。
青おにのこの申し出に至る前に、赤おにの性格や人間とのやりとりが、細やかに丁寧に描かれます。赤おにが素直で純粋だとわかるからこそ、青おにとの深い友情も、申し出も、腑に落ちるのです。
小学校の国語や道徳の教科書に採用された作品ですから、教科書で出合ったという方も多いと思います。ふたりのやさしさや寂しさを感じ、青おにの厚い友情と、悪者になるだけではなかった自己犠牲に、多くの子ども達が驚き、涙してきたことでしょう。そして、最もやさしく気高い心の持ち主が、友と別れなくてはならなくなった理不尽さに、やり場のない悲しみを覚えたのではないでしょうか。
子ども達はこの作品を通じて、友情の尊さに触れるだけではなく、そういった複雑な気持ちにも初めて出合うのかもしれません。
作品の伝えたいことを際立たせているのが、梶山さんの絵です。表紙の赤おにの表情は、眉は下がり、目はやさしく、角は丸くなり、まさに絵本の中のおにらしくないおにです。何より、この話の持つ、悲しくもあたたかい雰囲気を雄弁に伝えています。
<ミーテ会員さんのお声>
昨日読んだ『泣いた赤おに』は元のお話をそのまま載せていました。言葉の言い回しがちょっと古いかな? と思うけど、それだけ赤おに、青おにの深い心情がみてとれる内容でした。お兄ちゃんにもまだ早いかなと思いつつ読み聞かせると、じーっと聞いてて、最後に「なんか悲しいお話だったね」と一言。何かを感じとれたに違いないと思い、うれしかった(9か月と4歳9か月の男の子のママ)
小学生が読むようにとつくられたお話が全文載っているので、小さい子どもには少し長いかもしれません。長年愛され続けた作品らしく、他にも、池田龍雄さんや、いもとようこさん、漫画家の浦沢直樹さんなど、たくさんの作家さんが絵を手掛けています。比べてみてもよいかもしれません。
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