毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、神沢利子さんの文、西巻茅子さんの絵による名作『はけたよ はけたよ』。1970年初版のミリオンセラーです。
たつくんは、ひとりでパンツがはけません。片足を上げるとふらふらして、「どでん!」と転んでしまうのです。裸のままで外に飛び出すと、たつくんのおしりを見た動物達から「しっぽのない、つるつるのおしり」と笑われてしまって…。
一度は自分でパンツをはくことをあきらめて逃げ出してしまったたつくんが、失敗を重ねながらも自分なりの工夫でパンツをはけるようになる、というお話。パンツをはけた時のたつくんの誇らしげな表情からは、自分で成し遂げた喜びと達成感が伝わってきます。
トイレトレーニング中の子がパンツに親しんだり、親のサポートがなくても一人でパンツがはけるようになったりと、うれしい効用も見られる絵本です。
注目したいのは、たつくんのお母さんのおおらかさ。たつくんがパンツをうまくはけずに苦戦している時も「ほら、こうすればいいのよ!」などと口を挟むことなく、台所で洗いものをしながらそっと見守ります。パンツをはかないまま外に駆け出してしまったたつくんが、おしりを泥だらけにして帰ってきても、「パンツもはかないで、どこへいっていたの」と言うくらいで、怒鳴ることも叱ることもありません。
そして、自分でパンツをはけたたつくんへのご褒美のように、タイミングよく差しだされるお手製の赤いズボン。うれしさのあまり「ほら、みてごらん。ぼくのズボン!」と動物達に自慢するたつくんの姿は、とても微笑ましく感じられます。登場シーンはわずかではありますが、こんな風に子どもの成長を見守れたらなと思わせる、魅力的なお母さんです。
<ミーテ会員さんのお声>
自分でやりたいけど、まだうまくできない…そんなたつくんの様子がわが子と重なり、応援したくなります。息子は、「お友だち(たつくん?)もやってたね」と言いながら、ズボンはきに挑戦中。最近は、下の子のベビーカーを押すのもブームで、手伝うと「触らないで!」と怒られます(苦笑)(2歳7か月の男の子のママ)
「ひとりでやってみたい」という自立心の芽生えにも一役買ってくれる一冊。それでいて、いかにもしつけ絵本という雰囲気を感じさせないのが、長く愛される理由なのでしょう。子どもの描いた絵のような、のびのびとしたクレヨンのライン、黄色やピンクを基調とした明るい色合いなど、西巻茅子さんの絵も、たつくんの無邪気さや楽しい世界観を絶妙に表現しています。
▼西巻茅子さんのインタビューはこちら
「子どものときの感覚で絵を描いていきたい」
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