イチ押し絵本情報

おばけもめがねも、てんぷらにされちゃった!?(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.92)

2016年8月4日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 おばけもめがねも、てんぷらにされちゃった!?

今回ご紹介する絵本は、せなけいこさんによるロングセラー『おばけのてんぷら』です。

うさこは、こねこくんが食べていたお弁当のてんぷらを、自分もつくってみることにしました。料理本を片手にご機嫌でやさいを揚げていきます。すると、そのおいしそうなにおいに誘われて、山のおばけがやってきて…。

この作品は、1976年に出版された「めがねうさぎ」シリーズの一冊。表紙のうさこがめがねをかけていないのは…。

見開き

シリーズ1巻目の『めがねうさぎ』が刊行されて、昨年で40周年。2002年に、26年ぶりに登場した続編が『めがねうさぎのクリスマスったらクリスマス』、2005年には『めがねうさぎのうみぼうずがでる!!』。子ども時代にめがねうさぎに親しんだ読者が、親になって自分の子ども達に読み聞かせる姿が目に浮かびます。

貼り絵の手法で描かれた、あたたかみのある絵。どことなくとぼけた味わいがあるめがねうさぎの、のんびりとした個性が伝わってきます。うさこのモデルは、せなさんの息子さんなんだとか。

せなさんと言えば、以前ロングセラー絵本で紹介した『ねないこだれだ』などのおばけの絵本。ご自身が「私の絵本の一番最初の読者は息子でした」とインタビューで語っていらっしゃる通り、おばけの絵本をつくり始めたのも息子さんが妖怪に興味があったから。子育ての経験に裏付けられた作品だからこそ、愛され続けているのでしょう。

せなさんは、貼り絵に使う紙で気に入ったものがあったら、なるべくたくさんとっておくようにしているそう。「めがねうさぎ」シリーズは26年ぶりということで、いつもめがねうさぎが着ている服に使う緑のチェックの紙を探すのが大変だったとか。「納得できる理由がないと、主人公の服を変えることなんかできませんからね」。ひとつひとつ納得しながら作品を積み上げてつくるせなさんの、作品への思いを感じます。

<ミーテ会員さんのお声>
実家でとれた玉ねぎをいただいた。
「今日は玉ねぎサラダ! 私、皮むく」と娘が言うのでお願いしたら、「ママ、目がしみるよ!」と目を真っ赤にしてる。ママは思わず笑ってしまって、「絵本でよく出てくるやつ、初体験!」。

それで思い出したのが『おばけのてんぷら』。読み直して「玉ねぎが目にしみて、めがね外しちゃったから、めがねをてんぷらにしちゃったんだね」とふたりで大笑い。結局、夕飯は天ぷらもつくることに。娘は、絵本のうさぎさんのようにすぐに食べて、「おいしぃ~」。絵本と実体験が結びついて楽しい時間、うれしかった☆ (1歳1か月の男の子と、3歳6か月の女の子のママ)

うさこを怖がらせようと思っても、いつも失敗してしまうおばけ。憎めないかわいらしさが、幅広い世代の心をとらえ続ける秘密かもしれませんね。

▼せなけいこさんのインタビューはこちら
『絵本づくりで一番こだわるのは「独創性」』


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