毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、2012年に文化功労者に選ばれた安野光雅さんのデビュー作『ふしぎなえ』。1971年に出版され、世界中で愛されてきた字のない絵本です。
上がっても上がっても下の階へ行く階段。どうしてもさかさまに歩いてしまう道。壁のように立っていたカードがいつの間にか天井に…。驚きがたくさんつまった、だまし絵の本。
目の錯覚を利用して描いた、現実にはありえないふしぎな世界。一部分だけを漫然と見ていると緻密で穏やかな美しい絵。それが他の部分とつながることで、「そんなはずは…」という驚きが立ち現れます。子どもと一緒に、指でなぞったり、絵本を回したり、半分かくしてみたり…。絵の「ふしぎ」に気づいた瞬間の「あ!」という驚き、そして繰り返し見ても消え去らない「ふしぎ」。これまでたくさんの親子が、空想の世界に遊んできたことでしょう。
不可能図形を描いたオランダの画家エッシャーの絵に魅せられて、ふしぎな世界を描いた安野さん。ただその表現は、あたたかく、ユーモアに彩られています。変わった揃いの帽子をかぶりユーモラスに動く小人が、私たちの前にだまされてくれている。だから安心して絵本の世界に入り込めるのではないでしょうか。
また、穏やかな色彩で描かれた水彩画も、あたたかい世界観を支えています。やさしいタッチや色彩をもっと味わいたい方は、代表作の『旅の絵本』のシリーズを手に取ってみることをおすすめします。
かつて美術の教師だった安野さん。数学や科学など幅広い分野にも造詣が深く、それが知的で独創的な世界観を支えています。『はじめてであう すうがくの絵本』や『天動説の絵本』などもあわせて読んでみてはいかがでしょうか?
<ミーテ会員さんのお声>
長女が最近お気に入りなのは、安野光雅さん。特に絵が好きみたいで、『ふしぎなえ』や『さかさま』がお気に入り。私も小さい頃見てたな…、と私も楽しい。そのうち展覧会に連れて行ってあげようと思う。(2歳3か月と4歳6か月の女の子のママ)
生まれ故郷の津和野にある安野光雅美術館には、安野さんのたっての希望でプラネタリウムが併設されているそう。星空を眺めながら空想の翼を羽ばたかせることこそ、安野さんの作品の奥深さの秘密なのかもしれませんね。
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