イチ押し絵本情報

鮮やかにあふれる色彩、太陽から響くオルガン(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.80)

2016年5月12日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 鮮やかにあふれる色彩、太陽から響くオルガン

今回ご紹介するのは、荒井良二さんによる作品『たいようオルガン』。2008年に出版され、第1回JBBY賞など受賞した名作です。

太陽から響くオルガンの音色を聞きながら、ゾウバスは長い長い旅をします。乗りたい人、手をあげて。どうぞどうぞ。画面からあふれんばかりの色の洪水の中、ゾウバスに乗って出かけよう!

2005年、児童文学界のノーベル賞と称される「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を日本人として初めて受賞するなど、国際的に活躍する荒井さんの代表作のひとつです。

見開き

まず印象に残るのが、鮮やかで豊かな色彩と「子どもが夢中になって描いたよう」とも言われる自由な作風でしょう。荒井さんは、純粋に描くことだけに集中する子ども達の姿に「こいつらすごいな」と感心し、「かつて自分も子どものころに持っていた、絵を描く前の、気持ちの高まりのようなもの」(『絵本の子どもたち』(水声社))をもってして描きたいとおっしゃっています。


また簡潔でリズミカルなことばも、子ども達から愛されています。「たいよう」「オルガン」「ゾウ」「バス」など、ひとつひとつは子どもにもなじみ深い単語を使いながら、組み合わせの妙で独自の不思議な世界観を産みだしています。

荒井さんは絵本について「言葉で言えないことをなんとかして伝えられないものかな」と常に考えていらっしゃるそう。『たいようオルガン』については、「見守り見守られる関係性を絵本で表してみた」として、たいようは離れていても見守ってくれている人の象徴、ゾウバスは見守られている存在として生み出されたそうです。

あたたかな色合いの景色の中を、のどかにすすむゾウバス。読み進むにつれて、体がポカポカとし、気持ちが明るくなる一冊です。

<ミーテ会員さんのお声>
テレビで紹介されていて、私が色鮮やかな絵に一目ぼれして買いました。娘は繰り返しのことばをいつの間にか覚えて、バスのオモチャで遊んだ時に「のったりおりたり ぞうばすはしる」と言っていました。(2歳10か月の女の子のママ)

内なる子どもがのびのびと楽しんでいるような自由さにひかれた方は、ライブペインティングの『うちゅうたまご』や、『こどもる』、また色彩の美しさをもっと味わいたい方は『あさになったので まどをあけますよ』などもおすすめですよ。

▼荒井良二さんのインタビューはこちら
「大人も子どもと一緒に 絵本の絵を楽しもう」


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