毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、松居直さんと赤羽末吉さんによる『ももたろう』。昔話を再話し、生き生きと現代によみがえらせた名作。1965年初版のミリオンセラーです。
「むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました」から始まる、おなじみの日本昔話。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。川を流れてきた大きな桃を、持ち帰って割ろうとすると、なんと桃の中からかわいい男の子が生まれました。
今でも多くの人が空で物語れる、ももたろう。昔話として全国各地に様々な形のももたろうのお話が伝わっています。作の松居直さんは、各地の伝承を比較して、青森県の五戸地域に伝わる話を元に、この物語を生み出したそうです。
まず特徴的なのが、民話を聞いているような抑揚のある語り口でしょう。松居さんは絵本について「幼児に読ませる本ではなく、おとなが読んであげる本」(福音館書店リーフレット『絵本の与え方』)と語っておられる通り、この文章は書き言葉としてではなく、声に出して読まれることを前提に書かれています。
「つんぶく、かんぶく」と流れ、「じゃくっ」と割れる桃など、読んで印象に残るユニークな擬音も同様で、耳に心地よいリズム感にあふれています。
また赤羽末吉さんの力強い日本画調の絵も、昔話の雰囲気をより醸し出しています。表紙のももたろうは、りりしさの中にも子どもらしい愛らしさがあり、実に魅力的です。また、青地に明るいピンクの桃が配された着物からは、今を生きる子ども達と変わらず、おじいさんとおばあさんに愛情をこめて育てられていることが伝わってきます。昔話でありながら、今の子ども達にも通じる要素があることが、愛され続けている理由のひとつでしょう。
<ミーテ会員さんのお声>
熱を出した息子に、『ももたろう』のお話をしてとせがまれました。生まれた時からよく聞かせていたのを思い出したみたい。本によって少し内容が違っていて、私なりのアレンジを加えてお話してあげました。感想は「きびだんごを食べたい」でした!(2歳9か月の男の子のママ)
民話は伝わる地域によって内容が少しずつ違うのが魅力のひとつ。例えば、松谷みよ子さんと和歌山静子さんの『ももたろう』や、いもとようこさんの『ももたろう』など、他にもたくさん出版されているので、読み比べるのも楽しいですよ。
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