毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、ノルウェーの民話を絵本にした『三びきのやぎのがらがらどん』。日本での出版は1965年。以来50年の長きにわたり、多くの子ども達をとりこにしてきた名作です。
えさを求めて山の草場に向かう3匹のやぎと、橋の下で待ちうける恐ろしいトロルとの対決の物語。力強い筆致で描かれたトロルは見るからに不気味で、絵本を前にした子ども達を震え上がらせます。それまでかわいらしい子どもや動物の出てくる絵本ばかり読んできた子なら、なおさらのこと。
「ぐりぐりめだまは さらのよう、つきでた はなは ひかきぼうのようでした」
『指輪物語』(評論社)の訳者としても有名な瀬田貞二さんによる翻訳が、トロルの恐ろしさをさらに増長させます。
怖い、けど見たい…。この絵本の人気の理由は、気味の悪いトロルに立ち向かう3匹のやぎの姿に、自分を重ねるからなのかもしれません。1番目と2番目のやぎは勇気と知恵で乗り切り、3番目のやぎはトロルの上をいく迫力と圧倒的な強さで、あっという間にトロルを打ち負かします。
絵本という仮想の世界で、子ども達は初めての恐怖と、それに打ち勝つ勇気と知恵を学ぶのでしょう。子どもに読んでやるにはあまりに残酷なお話なのでは…と心配になる方もいるかもしれませんが、最後の「チョキン、パチン、ストン。はなしは おしまい」という文章が、お話の世界と現実の世界をしっかりと切り離してくれます。
ちなみに、スタジオジブリ制作の人気アニメ映画『となりのトトロ』には、「トトロを見た」というメイにサツキが「トトロって、絵本に出てたトロルのこと?」と尋ねるシーンがあり、エンディングでは母親に絵本を読んでもらっている様子も描かれています。いずれも多くの子ども達から愛される名作。合わせて楽しむのもおすすめです。
<ミーテ会員さんのお声>
今日は『三びきのやぎのがらがらどん』を読みました。怖いトロルが出てくるので、息子はちょっと怯え気味。それでも、読み終わると「もう1回読んで」とリクエストしてきて、2回読みました。気に入ったのかな?(2歳11か月の男の子のママ)
この絵本の絵を担当したマーシャ・ブラウンさんは、コールデコット賞を3度受賞するなど、長い間子どもの本の世界で活躍されましたが、今年4月、96歳で亡くなられました。日本では『三びきのやぎのがらがらどん』のほか、『ちいさなヒッポ』などの作品で親しまれています。
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