スペシャルインタビュー

映画「おまえうまそうだな」を語る 宮西達也さんスペシャルインタビュー

ミーテカフェインタビューvol.1に登場いただいた宮西達也さんの人気絵本「ティラノサウルス」シリーズが映画化されることになりました。公開は2010年10月の予定! 先日のイベント「大恐竜展×ミーテ」ナイトミュージアムにて大恐竜の標本前での読み聞かせ会にご出演いただきました宮西さんに、映画『おまえうまそうだな』について直撃インタビューさせていただきました。

絵本作家・宮西達也さん

宮西 達也(みやにし たつや)

1956年、静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。作品に、『おまえうまそうだな』(けんぶち絵本の里大賞、ポプラ社)、『おとうさんはウルトラマン』(けんぶち絵本の里大賞・びばからす賞、学研)、『ふしぎなキャンディーやさん』(日本絵本賞読者賞、金の星社)など多数。2010年秋、「ティラノサウルス」シリーズを原作とした映画『おまえうまそうだな』が公開される。
http://www014.upp.so-net.ne.jp/tats-m/

『おまえうまそうだな』 ~絵本と映画、それぞれの世界を楽しんで~

『おまえうまそうだな』

▲今回映画化される宮西さんの人気作品『おまえうまそうだな』(ポプラ社)

「ティラノサウルス」シリーズの映画化にあたって、映画のスタッフの方たちに最初にお願いしたのは、絵本とは違うものをつくってほしい、ということでした。

絵本は動かないし、音も出ないでしょう。お母さんやお父さんが1ページ1ページめくって、一字一句読んでいく中で、子どもたちが想像するんですよね。絵本に描かれていないティラノの動きや表情を思い浮かべて、つくりあげていくんです。それに対して、映画は総合芸術ですから、キャラクターたちが動いて、言葉を話して、音楽や効果音までつく。表現方法にかなりの違いがあるんです。

だから、絵本をそのまま映画にしてしまうと、こういう声じゃないよな、こういう動きじゃないよなって、違和感が生じてしまうと思ったんですね。それなら映画は絵本とは変えて、映画ならではの表現を追求してもらおう、と。

そんなわけで、絵本と映画では違うところがたくさんあります。絵本では一冊一冊、違うティラノとして僕は描いているつもりなんですが、映画『おまえうまそうだな』では全部同じティラノを主人公にしていますし、絵本にはいなかったキャラクターも登場します。キャラクターデザインや色づかいなども、映画に合うような形で表現されています。

この映画を観る方たちには、絵本のことを忘れて楽しんでほしいですね。絵本ではこうだったのに、といった先入観を持たずに、映画の世界を存分に味わってほしいと思います。先入観を持ってしまっていても、映画は絵本とは変えてつくっていますから、いい意味で裏切られるんじゃないかな。

「ティラノサウルス」シリーズで描きたかったのは、さまざまな「愛」

絵本作家・宮西達也さん

▲「大恐竜展×ミーテ」イベントで恐竜の標本前で読み聞かせをされる宮西さん(→ こちらで動画をご覧いただけます!

▲「大恐竜展×ミーテ」イベントで恐竜の標本前で読み聞かせをされる宮西さん

絵本と映画で表現方法は違いますが、作品に込めたメッセージはまったく同じです。僕がこの「ティラノサウルス」シリーズを通して描いているのは「愛」。母と子の愛、父と子の愛、友だち同士の愛……「愛」にはいろんな形があるじゃないですか。映画『おまえうまそうだな』にも、そういったさまざまな「愛」が、すべて盛り込まれています。

肉食系のティラノサウルスと草食系のアンキロサウルスが愛で結ばれていく様子は、今の人間社会と重ねることができると思うんですよ。親子や兄弟、他人との関係……コミュニケーションが希薄になりつつあるといわれる今、本当に大事なのは何なのか、この映画は教えてくれます。子どもだけでなく、お父さんやお母さんにもぜひ見てもらいたいですね。

絵本でも、それぞれの個性が引き立つように気を配りながらキャラクターを描いているんですが、映画の中でも、すべてのキャラクターがとても生き生きとしていて、本当に楽しい映画になっています。笑ってしまう場面もあるし、感動する場面もあるし、思わず「わー!」って声をあげてしまいそうなほど迫力のある場面もあります。なんといっても、登場人物は恐竜たちですからね。映画館の大きなスクリーンで観ると本当に迫力があると思いますよ。

実は、僕と妻も声の出演をさせてもらったんです。「ぜひやらせてください!」とお願いして。僕が演じたのは、ティラノサウルスに追いかけられる恐竜の役。自分では、かなりうまいのでは?と思ってるんですけど(笑) でも、自分で体験してみて、声優さんのすごさというのが改めてわかりました。

映画『おまえうまそうだな』は10月の公開に向けて製作中なので、僕もまだ最初から最後まで通しでは観ていないんですが、場面場面、細切れで観たんですね。ラストシーンでは、自分が原作者だというのに涙が出てきてしまって……自分の作品に対する思い入れもありますが、やはりプロの方たちが映画ならではの形でつくりあげてくれていたので、胸を打たれたんだと思います。音楽も本当にすばらしかったですし、加藤清史郎くんをはじめ、声優の皆さんにとても期待しています。目と耳とすべてで感動できる作品になっていますよ。

映画『おまえうまそうだな』 10月、全国ロードショー!

ひょんなことからマイアサウラ(草食系の恐竜)のお母さんに育てられた、ティラノサウルス(肉食系の恐竜)のハートは、大きくなるにつれ、みんなから怖いと恐れられるようになりました。

ある日ハートは、タマゴから殻を破って出てきたちっちゃなアンキロサウルス(草食系の恐竜)に出会いました。「うまそうだな」と話しかけたのがきっかけで、アンキロサウルスの子どもはハートのことをお父さんと慕うように……。ハートとおちびちゃん“ウマソウ”との間に、不思議な父と子の愛情がめばえます。

原作は、宮西達也さんの累計150万部突破の人気絵本「ティラノサウルス」シリーズ。CGや3Dアニメ映画が主流のいま、手づくりの素朴で温かい絵が親と子の絆、お互いを思いやる心、大きなものに挑戦する勇気を描き、観る人を幸せな気持ちにしてくれます。

声の出演は、お母さんに原田知世さん、ウマソウに加藤清史郎くん、ハートに山口勝平さん、片目のバクーに別所哲也さん。平原綾香さんの歌うエンディングテーマ「君といる時間の中で」にも要注目です。現在、10月の公開に向けて製作が進んでいるとのこと。今から映画『おまえうまそうだな』の公開が待ちきれませんね!

映画『おまえうまそうだな』情報
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