今回は、育児漫画家、イラストレーター、育児番組でもおなじみの高野優さんがご登場。3人の娘の育児を、飾らず体当たりでユーモアと愛を忘れず描き、子育て世代からの支持を集める高野さん。育児漫画を描き始めたのは「妊娠って面白い!」という発見からだそう。幼少期のこと、絵本との再会、ご主人が亡くなられた後に描いた初の絵本などたっぷりとお話いただきました。4週連続でお届けします。
北海道出身。イラストレーター、漫画家、エッセイスト。『高野優のコドモ☆スクランブル JUMP!』(講談社)、『みつばのクローバー』(主婦の友社)、『思春期ブギ』(ジャパンマシニスト社)など育児漫画、エッセイの著作は約40冊。Eテレ育児番組の司会を3年間務めたほか、講演会で全国を巡る。絵本作品に『よっつめの約束』。大1、高2、中1の3姉妹の母。※学年は2015年8月現在(プロフィール写真撮影・刑部友康)。
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▲ぞうのぐるんぱは、みんなの応援で働きに出ますが、行く先々で大き過ぎるものをつくって大失敗。しょんぼりしていたところ、12人も子どものいるお母さんと出会って…。『ぐるんぱのようちえん』(作:西内ミナミ、絵:堀内誠一、福音館書店)
子どもの頃かぎっ子だったということもあって、本はいくら買ってもいい家だったんですね。どんなジャンルの本でも良かった。姉もいろんな本を読み漁ってましたし、私も小さい時からいろんな絵本を持っていました。でも引っ越しを重ねるうちに、いつしか手放してしまっていたんです。
長女がまだ0歳の頃に小児科に行ったんですが、そこに本棚があったんですね。その時に、おおげさじゃなくて、体中がワッと熱くなるような本があったんです。それが『ぐるんぱのようちえん』。背表紙の色合いだけでわかりました。文章から、ゾウの表情から、お皿の中身から、洗濯物のTシャツの色まで覚えていました。「お母さんが一番好きだった絵本だよ」と言って、その足で本屋さんに行って取り寄せました。3人の娘もみんな読みましたね。
その時、絵本ってこういう物なんだと思ったんです。大人になった時、その本を読んだ、畳の部屋だったり、においだったり、その時抱えていた自分の思いだったりを、全部呼び戻すんですよ。すごくびっくりして、それから『ぐりとぐら』など、自分の好きだった絵本を子どもに読ませようって思うようになりました。
ミーテでは、スペシャルインタビューの他にも、子育てに絵本を取り入れている先輩ママ・パパのお声もたくさんご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
高野優さんのインタビューはまだまだ続きます。
3歳くらいまでのお子さんを育てているお母さん方からお話を伺うと、絵本の読み方も、選び方もわからない、わからないことだらけなんですよね。私自身もそうでした。
でも、よく考えてみると、絵本ってそんなにハードルが高いものじゃない。私は専門家ではないのでわからないけれど、もしかしたら、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、誰かのひざで読んでもらう、それがまず第一なのかなと思うんです。
読み聞かせって親をひとり占めできる時間ですよね。もし自分が90センチの子どもだったら、大好きなお母さん…いつもは妹や弟のことばかり、とかね(笑)…そのお母さんが、耳元でずっと自分のために絵本を読んでくれるというのは、すごく幸せな空間なんじゃないかと思うんです。まずは絵本の内容よりも、その密な時間が大事。慌ただしい毎日でしょうが、だからこそひざに乗せて読み聞かせしてあげてほしいと思いますね。
日比野克彦さんが『えのほん』という絵本をつくられているんです。落書きしてもいい、噛んでもいい、なめてもいい、といったことが前書きに書いてあって、読み聞かせってそれでいいんじゃないかなって思いました。読んでいるのは「今」だけなんだけれど、それはきっと20年後30年後、その子の記憶に揺さぶりかけます。親になった時に「お母さんが読んでくれたな」と思い出す。それはお金じゃ買えない贈り物ですよね。
高野優さんのインタビューはまだまだ続きます。