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みんなの推し絵本！

vol.43 ふるやんさんの推し絵本

vol.43ふるやんさんの推し絵本

思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本！」。今回は「ほのぼの犬ぽんちゃん」の漫画やイラストがSNSで人気のイラストレーター・ふるやんさん。ぽんちゃんとお友だちの日常を描いた絵本やお気に入りの絵本について、お話を伺いました。

日常のちょっとした幸せ描く、ほのぼの犬ぽんちゃん

ぽんちゃんのいちにち: 作・絵：ふるやん; (アリス館)

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ぽんちゃんは実家で飼っていた愛犬をモデルにして誕生したキャラクターです。もともと絵を描くのは得意ではなかったのですが、愛犬の絵はたまに描いていて、いつかキャラクターにしたいという思いはありました。最初の発表の場はX(旧Twitter)です。コロナ禍で家にいる時間が増えて、ずっとやってみたかったことに挑戦しようと思ったのが投稿のきっかけです。

4コマ漫画やイラストの投稿を続けるうちに、幸いにも次第に反響をいただけるようになって。でもまさか絵本になるとは思ってもみなかったので、出版社の方からお声がけいただいたときはとても驚きました。絵本は描いたことがないので、自分に描けるか不安でいっぱいでした。ただ普段の投稿では、日常のちょっとしたうれしいことや楽しいこと、幸せなことをテーマに描いているので、そこは絵本でも変えずにいこうと心がけました｡

また、絵本の制作を始める前、小さいお子さんがいる友人の家に遊びにいったんです。その子が絵本を見せてくれたのですが、絵本のメインのキャラクターではなく、端っこにいるキャラクターを指さして喜んでいたんです。こんなに細かいところまで見ているんだなと、すごく印象に残りました。だから細かい部分まで発見のある絵本にしたいなと思って、特に1作目の『ぽんちゃんのいちにち』は背景をたくさん描き込みました。すごく大変でした(笑)。

以前ミーテの新刊情報で『ぽんちゃんのいちにち』を紹介していただいたときに､「公園で遊ぶシーンをこだわって描いた」と答えましたが、その他にもぽんちゃんが大きなリュックを背負ったお友だちのもんちゃんを転がすところも気に入っています。物語の最初の方にクスッと笑える場面を入れたいなと思って。無抵抗に転がされるもんちゃんのシュールな感じが気に入っています｡

背景や細かい描き込みも楽しんで『ぽんちゃんのキャンプ』

ぽんちゃんのキャンプ: 作・絵：ふるやん; (アリス館)

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『ぽんちゃんのキャンプ』は、ぽんちゃんともんちゃんがラーメンをつくるところが好きです。実は私、キャンプは子どもの頃に1度行ったきりなのですが、そのとき食べたカレーがすごく美味しかったのを今でも覚えているんです。このシーンはそのときのことを思い出しながら描きました。

ぽんちゃんともんちゃんはそれぞれ好きな具材をラーメンに乗せていますが、具材がなかなかユニークです。ぽんちゃんはバーベキューをするつもりで食材を持ってきていたからなんですが、ぜひそんなところも注目してみてください。

読み聞かせは、自由に楽しく読んでいただくのが一番です。絵本の中にはたまに「コロリンコロコロ」や「ポンポコリン」などの楽しいオノマトペが出てくるので、少し声のトーンを変えて読んでいただくとより楽しくなるかも？と思っています。

「どろにんげん」を黄緑で描く自由さに憧れ

どろにんげん: 作・絵：長新太; (福音館書店)

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好きな絵本は長新太さんの『どろにんげん』。実家から自分の家に持ってきて今でも時々読んでいます。キャラクターやお話ももちろん魅力的なのですが、とにかく色の印象が強くて。ずっと記憶に残っているんじゃないかなと思います。「どろにんげん」だったら普通はくすんだ色で描きそうなものですが、長新太さんはきれいな黄緑で描いているんです。空も鮮やかなピンクでとてもインパクトがあります。

私は現実主義なところがあって、現実にあるものを忠実に描こうとするので、長新太さんのように創造力にあふれた自由な絵はとても憧れます。

私の作品は大爆笑したり、びっくりしたり、感動で泣いたり、感情が大きく揺さぶられたり、というものではありません。クスッと笑ったり､ちょっとほっこりしたり…。どの媒体で表現する際にも、そんなありふれた日常を描きたいと思っています。もしかしたら私が平凡な人間だからかもしれませんが、そういった日常こそがとても大切なものだと、年を重ねるごとに感じています｡

今のところ次の出版の予定はありませんが、また何らかの形で本がつくれたらいいなと思っています。SNSの方ではイラスト、4コマ漫画に加えて、短編の漫画も描いていく予定です。育児、仕事、家事で「ちょっと疲れたな」と思ったときには、ぜひ絵本やSNSで「ほのぼの犬ぽんちゃん」をのぞいてみてください。クスッと笑ったり、ほっこり気持ちがあたたかくなったりしていただけたらうれしいです。