vol.34川田裕美さんの推し絵本
思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本!」。今回は、報道からバラエティーまで幅広く活躍中のフリーアナウンサーで、4歳の男の子と2歳の女の子のママでもある川田裕美さんにご登場いただきます。
子どもが赤ちゃんの頃に読んだ絵本では、『おさかなちゃんのじょうずじょうず』をよく覚えています。海の生き物と、それぞれにあわせたオノマトペが書かれた本です。何回も読み聞かせているうちに、めくった瞬間に子どもが「ちゅんたった、ちゅんたった!」とそのオノマトペを言うようになったんです。そこで次からはめくったときに私は読まずに待つようにしたら、子どもが「ちゅんたった!」と言ってくれるように。掛けあいのように読むのは私にとっても楽しい経験でした。
実は私自身が子どもの頃、家族によく自分が絵本を読むのを聞いてもらっていました。大人が聞いてくれる中で読むことがとても誇らしくて、意気揚々と読んでいました。祖父が録音してくれたカセットテープも残っています。それで私も子どもに、読んであげるだけではなくて、読ませてあげたいなと思っています。
最近よく読んでいる絵本は、『だいすきだよ おつきさまにとどくほど』。クマの親子が「なぜあなたのことが好きか」ということを、ただただ伝える親子の触れあいの絵本です。これを上の子にお願いして、「読んで」もらうこともあります。もちろん字はまだ全部読めるわけではないので、絵を見て想像して、ストーリーをつくってもらうんです。実際の文章はたった2行なのに、何十行あるんだろうってくらい盛り上がることも(笑)。「そんな風に発展していくの!?」とか「いきなり終わった!」とか。それが面白い。本人も満足そうで、読み聞かせって本当にいろいろな方法があるんだなと思いました。
ディズニーランドの乗り物が絵本になった『It's a small world』も何度もくり返し読んでいる絵本です。文章は英語で、有名なうたの歌詞ではなく、乗り物に乗ったときと同じように、日本を含めた各国のあいさつ、文化が紹介されているものです。
子どもたちを初めて連れて行ったときに、ふたりとも「イッツ・ア・スモールワールド」が気に入って、何回も何回も乗ったんですよね。家でもよく歌っていたので絵本版を買いました。読み聞かせるときは、英語の文章は読まず、一緒にうたを歌いながら、ゆっくりページをめくっていくだけ。楽しかった思い出を追体験している感じで、とても幸せな気持ちになります。本来の絵本の使い方ではないかもしれませんが、子どもたちも大好きで何回も何回も読んだので、あちこち破れてボロボロです。
また、最近子どもたちがはまっているのが、『ゴリラのパンやさん』。ゴリラが小さなパン屋さんを開いたけれど、買い物に来てくれた動物たちはゴリラの大きい声や怖い顔にびっくりして逃げちゃって全然売れなくて…というお話です。子どもたちが気に入っているのは、ゴリラが「へーい、いらっしゃい!」と大声を出すところ。上の子がゴリラをマネて、精一杯低い声で読むんです。すると下の子がキャッキャと大笑い。特に下の子がお気に入りで「ゴリラ、ゴリラ」と言って、寝る前の絵本にいつも選んできます。
この絵本などは読むだけではなく、折に触れていろいろな話をしますね。「いばりんぼうのきつねさんは、何が悪かったのかな?」と一緒に考えるときもありますし、順番を守ることの大切さや、乱暴な言葉は使わない方がいいなどの話をするきっかけにもなっています。また、小さいうちだったら「登場人物の誰が好き?」と理由も含めて聞いてみます。子どもなりの面白い理由があるので、ぜひ皆さんのお子さんにも聞いてみてほしいです。こうやって話をすることが、会話らしい会話ができるようになっていくことにつながるのかなと思っています。
子育てを通じて思ったのは、本の読み方には決まりがあるわけではないということ。書いてある通りに読むだけではなく、どこから読んでもいいし、途中でやめてもいいし、自分で話をつくってもいい。それが読み聞かせのすばらしいところなんじゃないかなと思います。またそうやって親がいろいろなパターンを見せておくことで、子どもも本を楽しいものと思ってくれるんじゃないでしょうか。
皆さん、理想の読み聞かせってあると思うんですけれど、それにあまりしばられすぎなくてもいいなと自分の経験から感じています。子どもたちは、私たちの想像以上にすばらしい感性を持っているので、そこを一緒に楽しんでいきたいですね。
インタビューの中でご紹介した絵本『だいすきだよ おつきさまにとどくほど』をミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
川田 裕美(かわた ひろみ)
1983年、大阪府生まれ。2015年に読売テレビを退社しフリーに転身。現在、日本テレビ「ヒルナンデス!」水曜レギュラーなど、バラエティー番組、ラジオなどで広く活躍する。4歳の男の子、2歳の女の子の子育て中。