Vol.9 『ねんね』作者・さこももみさんインタビュー
赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回は、さこももみさんにご登場いただきます。
『ねんね』と『まんま』は、編集者さんからのリクエストがきっかけで生まれました。お子さんが当時2歳くらいで、寝かしつけと小食で悩んでいらっしゃったんですね。それで、安心して入眠できるような絵本と、食べることへの興味をもってもらえるような絵本をつくろうということになって。
ただ、あまりにしつけの要素が強いと、うまくいかない時に子どもがつらい気持ちになってしまうことも考えられるので、幸福感を大事にしながら、純粋に楽しめる絵本になるよう心がけました。
絵本に登場する子どもは、その年齢、月齢の子どもの特徴をやや強調して描いています。読者の方々からよく「うちの子にそっくり」というお声をいただくのですが、それは、絵本の中にご自分のお子さんを重ね合わせて見てくださっていることの表れなのかもしれません。それだけお話の中に入り込んで読んでくださっているんだなと思うと、とてもうれしいです。
子ども達は耳から聞く言葉、声を楽しみつつ、大人とは違う目線で絵を「読み取って」いるのだと思います。ページをめくることそのものを楽しんだり、前に戻ったり、絵の中にストーリーとは関係のないものを発見したり。ですので私達絵描きも、絵の中にこっそりと小さな「お楽しみ」をしのばせていることが多いんですよ。そうやって絵本をじっくり見る中で、子どもの想像力は育まれていくのだろうと思います。
何度も読んでもらったお気に入りの絵本は、やがてボロボロになり、家族の匂いが染み付いて、開くだけで絵本を読んでくれた大好きな人の声が思い出されるようになるでしょう。ぜひ捨てないで、お子さんが家を出る時に持たせてあげてください。それは、たくさん愛されて育った証拠でもあり、開くたびに大きくなった自分を励まし続けてくれるに違いありません。実際にボロボロの絵本を実家から持ってきた私自身が言うのですから間違いありません。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
さこ ももみ(佐古 百美)
1961年、東京都生まれ。東京学芸大学美術教育学科卒業。小学校教員を経てイラストレーター、絵本作家に。主な作品に「こんなときってなんていう?」シリーズ、「ゆっくとすっく」シリーズ(文・たかてらかよ、ひかりのくに)、『ねんね』『まんま』『さよなら ようちえん』(講談社)、『わらう』(白泉社)、「ペコルちゃん」シリーズ(くもん出版)、『だいすき!』『ないしょだよ!』(岩崎書店)などがある。